歌い手がヤンデレ

ヤンデレがそらる ページ24

Aの視点


突然、くすぐったい感触がした。


それは鎖骨をぺろりと舐められ、気持ち悪いのとくすぐったいのが混ざってなんだかわからなくなる。


嫌々とジタバタした抵抗も虚しく、そらる氏に痕をつけられた。


「うぁ…」
少し痛くて声を出したが、今のそらる氏には逆効果だったらしく、鎖骨よりも上の首元につけられてしまった。


「嗚呼。綺麗についたね、俺のって印」

なんて、にこりと笑って言うもんだから腹がたつ、というよりも呆れを感じた。

今の私の顔は、間抜け顔。

自覚があるから、相当変だろう。


しかし、そらる氏は私が間抜け顔な間にも

ぢゅっと、生々しいリップ音付きで今度は私の耳につけた。


「痛っ…」

今までのとは、比べものにならないくらいの痛さ。

…こいつ、しばいたろか。

なんて、絶対にできないが、できたらどんなにいいだろうと思う。

もし、できたら普段のヤンデレの10倍…いや、1000倍くらいのをお見舞いしてやる。


「痛い？ねぇ、痛い？」

あったりまえじゃ、馬鹿野朗。

痛い？なんて、まふまふ君みたいに聞きやがって。

不覚にもときめいたじゃないか。



「いいね、俺で痛みを感じるA…」

こんな思いを込めて睨むと、そらる氏は逆に微笑ましい目で私を見た。

「もっと、もっと俺で感じて痛がってよ。その方が……興奮する」

こんの、変態。

こう悪態づきたいのは、誰だって思うんじゃないだろうか。

しかし、ヤンデレでめんどくさいのは、この言葉でも、興奮するからである。




ほんっと、めんどくさい。

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