歌い手がヤンデレ

ヤンデレがそらる ページ22

Aの視点



「気持ち、悪い……」

そらる氏は相当私の発言がキタようで、さっきからずっとこれの切り返し。

その様子は、壊れたラジカセみたいで。

耳を塞ぎたいけれど、そらる氏に抱きしめられているので塞げない。

なので、かれこれ 二、三十分はこの体勢。

つーか。
足痺れたんですけど、あいたたた。



…勿論

離してください、と何度も頼んだがそらる氏は私の言うことに耳を貸さず。

結局ずっと抱きしめられたまま。


流石にこの状況に諦めを感じてきており。

抵抗する気も失せてしまった。

だからだろうか。


ずっとなんか言ってたそらるさんが

「そうか…！分かった」

さっきの声とは比べものにならないくらいの、大声で言った。

それは私の耳元で言ったため、現在私の耳はキーンと鳴り中。

あんな眠そうなのに、こんな時だけ生き生きしてやがる。

その証拠に、さっきよりも抱きしめる力が増した。


「なぁ、分かった」

いや、一体何が？
そう突っ込みたいのは山々だが、強い力で抱きしめられすぎて、苦しいし朝食べた物が出そうだし。

まあつまり、喋れないわけである。

しかし、そらる氏は私の事など全く、全然気にしてない様子で。


「分かったよ。Aが俺のにならねぇんだったら、無理矢理にでも俺のにしてやる」

いや、私物じゃないんですけどおお。


「あ、あのそらる氏？私、この後用事があるんですが……」

勿論、用事があるって言うのは嘘。

しかし、嘘くらいのつかないと離してもらえないので。


苦し紛れの言い訳。

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