歌い手がヤンデレ

ヤンデレがそらる ページ17

「ねぇ。まふとはさ、どんな風にキスしたの？」

そらる氏にさっきよりも強い力で抱きしめられた。

その反動で、私はそらる氏の厚い胸板に顔を押し付けている状態に。

だからあの眠そうな、でもちょっと色気のある声が耳にかかるので、体がぞわぞわしてたまらない。


「あのですね、そらる氏。耳元で喋らないでいただきたいんですけど。そういうの、ちょっと……」

「ん、どういうの？」

そらる氏は私の耳元で言った。

多分わざとだ。

……だから、そういうのだよ、そういうの。
やめてください、くすぐったいんですけど。

なんて言えるはずもないので、少しの抵抗の意味も込めて身をよじった。

が、しかし
まふまふ君よりも力の強いそらる氏になんて、絶対勝てるはずもなく。

抵抗は失敗に終わった。

だから、諦めて抱き枕になることにした。

諦めて、完全に抱き枕となった私を見てそらる氏は、何を思ったのか知らないけど


「ふぅー……」

と、私の耳に息を吹きかけた。

「ひぅっ……」


漏れる声が自分でもはっきり聞こえてきた。

あっしまった、と思った時にはもう遅く
やっぱりな、とでも言ってそうなそらる氏の笑い声が、今度は聞こえてきた。

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