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(メルルside)
今俺は、ウォーカーだらけの街にあるビルの屋上で手錠に繋がれている。
事の原因は数十分前ーー。
リサと弟の一件で、2人から離れるために物資調達に来た俺は、ウォーカーがウロつきまくってるせいでこのビルに避難するしかなかった。
使えねぇ奴らと行動を共にするのが癪で、1人で屋上での見張り役を引き受けた。
屋上からアホ面さらして歩き回るウォーカー供を眺めていると、ふとリサの事を思い出す。
森の中、リサと弟がキスした瞬間が目に浮かんだ。
「クソが」
ムシャクシャして思わず銃を構える。
銃声でウォーカーが集まってくるのは分かっていたが、頭の中に浮かぶあの光景を消し去りたくて、苛立ちをぶつけるように銃を打ちまくった。
少しすると、モラレス達が屋上にやってきた。
「メルルお前はイカれたのか!」
そう窘められ、思わず笑ってしまう。
そうだ、確かに俺はイカれてやがる。
「銃を持つ人間に敬意を払え、常識だろ」
苛立ちはまだ消え去っていない。
今すぐ誰かをぶん殴りたい気分だ。
すると、Tドックが突っかかってきた。
俺は引くに引けなくなった。
周りが俺を冷めた目で見ているのも相まって、Tドックをけしかけ、殴りかかってきたことろをやり返す。
思い切り銃身で顔を殴った後、止めに入ってきたよく知らねぇ保安官を張っ倒す。
ここまできたらもう止められなかった。
頭に登った血は引く事を知らず、殴った時の拳の感触が、心の痛みを鈍らせた。
倒れたTドックを執拗に蹴り続ける。
なぜ弟なんだ。
よりにもよってなぜ。
俺が拾ったのに。
俺はもうアイツらにとって用無しか?
そんな考えを消し去るように蹴り続け、殴り続けた。
「お願いもうやめて!」
アンドレアの声がしたが、今の俺には聞こえない。
我慢の限界に達して銃をTドックに向けると、空気が凍ったのが俺にも分かった。
さすがにマズイのはわかった。
それに、Tドックを撃ち殺したなんてリサが知れば、俺はきっと軽蔑される。
仕方なくTドックを解放した。
「リーダーを決めよう」
そう言って俺は、暴力で支配したこの場でボスになろうとした。
賛成のやつは手を上げろ、といえば、この場で上げない奴なんていないだろう。
しかし突然、後ろから殴られた。
あの保安官だ。
「誰だテメェ」
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ぺろ - 続きを楽しみにしてます (2022年7月15日 19時) (レス) @page25 id: 1cd0628146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aaa | 作成日時:2021年1月17日 12時