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部屋に入ってすぐ、向き直った翔さんに強く抱きしめられて頭の中はパニック。
「ちょ、ちょっと」
「ごめん。いや、なんか最近会えてなかったし」
照れ臭そうに笑う表情に、いつもの翔さんだと安心する。
「じゃ、まずはAから。俺に聞きたいことどうぞ？」
「ええと、」
そうだ、この人レディファーストの精神の人だった。
急にふられて焦りながらも頭の中で話すことを組み立てる。
「この前来た時のことなんですが、」
「うん」
「部屋を掃除した時に知らない女性物の服を見つけてしまって…」
「あ、」
「それでちょっと気が動転して帰っちゃったんです」
「いや、うん。そっか…」
気まずそうに翔さんが説明してくれたのは、やっぱりあれは妹さんのもので。
久しぶりに会った妹さんへのプレゼントとして用意していたものらしい。
「勝手に見てごめんなさい」
「いや、それは片付けとかなかった俺が悪い。配慮が足らなかった」
うんうん頷いて納得した翔さんは、その先も話すように促してくる。
「あと、今日のことは本当に大丈夫なんですか？」
「ああ、ちょっと前の揉め事が片付いてなかったみたいで」
気にすんなと苦笑いする翔さんに、これ以上は突っ込まないほうがいいんだなと察する。
「他は？まだあるだろ」
「えぇ…どこまでお見通しなんですか」
「まぁ普段からよく観察してるし？」
「え！？」
「自分の彼女のことぐらいわかりたいと思うのは当然だろ」
うわうわ。
現金なもので彼女と呼ばれただけで嬉しくなってしまう。
はあ、そっか。
まだ彼女でいいんだな。
「妹さんに挨拶しなくていいって言ったじゃないですか。あれが、その…家族に紹介する気は無い的なことかと」
「は！？なんだそれ！？あいつに紹介しなかったのは……」
そこまで饒舌に喋っていたのに、翔さんは急に気まずげな顔になって黙り込む。
先を催促するように服を引っ張ると、しぶしぶといった風に口を開いた。
「紹介しなかったのは、Aが別れたいって言った時の為だよ。下手に紹介なんてしたら手離せなくなるだろ」
「な、なにそれ！？そんな、まるで私が別れたいって言うこと前提の話じゃないですか！別れる気なんてこれっぽっちも無いですけど！？」
「…そうだよな。はは、」
翔さんは反射的に叫んだ私に目を丸くしてから、どこか呆れたように笑った。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
