あら、ご機嫌よう【薬屋のひとりごと】

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最近、鈴麗公主の容体が悪い。


それだけではない。少し前に東宮さまがお生まれになったが、東宮さまとその母、梨花(リファ)妃の容体も悪いそうだ。



東宮さまも、鈴麗公主もまだ乳飲み子。でもそうならばなぜ梨花妃の容体も芳しくないのだろう……






医官は来ない。なぜなら梨花さまと東宮さまの宮、水晶宮のほうが東宮さまがいることによって優先され、後宮の医官は宦官にならねばならぬ故成り手も少なく、後宮医官は現在一人しかいないのだ。







「明日、直接水晶宮へ行って医官に小鈴(シャオリン)を診てもらうよう頼むわ」
「！ いけませんっ、玉葉さま、梨花妃の侍女は高飛車で傲慢な者が多く、何をされるかわかったものではありません！」
「でも、このままでは医官は来てはくれないわ」



必死に止めようとする紅娘だが、玉葉さまの気持ちは堅い。








○●○







あの時、止めておけばよかった。






『っ、玉葉さまっ！！』




うつむく玉葉さまに私は血相を変えて飛び出す。




「お前が悪いんだっ、自分が娘を産んだからって、男子(おのこ)の吾子(あこ)を呪い殺す気だろう！」
「そんなわけないと、わかっているでしょう。小鈴も同じように苦しんでいるのですから……ですので、医官殿には娘のほうの容体も診ていただきたいのです」
「……あ、えっと……」





結局医官は翡翠宮に来ることはなかった。……いや、あったがそれも申し訳程度の診察だった。






『……これは？』




石楠花に結ばれた貧相な布。……これは植物の汁か？それが滲んで読みにくくなっている。




『おしろいはどく、赤子にふれさすな………っ、玉葉さま！』




確か玉葉さまは白粉は使っていないが、雇い入れた乳母が使っていた。……そして梨花妃も。




私は玉葉さまの元へ走った。








後日、鈴麗公主は回復し、東宮は身罷られた。

梨花妃の容体も、悪化しているそうだ。

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