昼想夜夢２

【過去編】３ ページ35

だが、今回の任務


そう楽なものでは無かった。


忍である事を隠して行動していても、女であることを知られれば野盗に追われ、それと対峙した時に忍術を使ったのを見られれば他里の忍に追われた。



ならばと、まだ幼さの残る年齢であることを最大限に活かして、泣き落しや命乞い等敵の隙を作る事を出来る限りした。



プライドなんて保つ余裕等、Aには無かった。





そうして、ようやく辿り着いた場でAが目にしたのは里の仲間が死に絶えた姿。


その中には音の忍だけではなく、他里の忍の姿も見られた。




白雪が積もるその中で、一際Aの目を引いたのは年もそう変わらないだろう白く輝く白銀の髪の青年



死に絶えているのか、ポタポタと彼の頬から落ちる血が白雪を赤く染めていく。




「……れ……だ」



(っ！？……まだ生きてる！？)




不意に持ち上がった視線がAを捉え睨み付けた。


そこから発せられる殺気にAは思わず飛び退く。



だが、彼は一瞬Aをその目で捉えるもそれ以上は何も言わずに再び意識を手放した。


暫く警戒して眺めて居れば、その場に他の足音が近付いてくるのを感じたAは一旦退いて岩陰に身を隠した。


男達はクナイを手に、青年の元に歩みを進めていた。



「……本当に目を抉るのかよ。」


「ああ、コイツの片眼は木ノ葉の有名な写輪眼だ。使いこなせれば、俺達の里もきっと！！」


「なあ……意味があるのか？他里の忍を捕まえて、情報を得て……俺達の里に未来が……あるのかよ。」


「ここで……生き残ればきっと何か見えるさ。その為にも……っ？！」




雪の柱に括り付けられて身動きの出来ない青年の髪を乱雑に掴んだ男は、殆んど意識が無い筈なのに、睨みを利かせている青年の表情を目にして一瞬怯んだ。




「……風遁、真空刃。」



その、一瞬の隙をAは見逃さず背後から彼等を手に掛けると、青年の縄を解き抱え上げて一旦その場を離れた。

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