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「おいで、A。」
両手を広げて呼ばれれば、仕方なしにその腕の中に納まって膝に抱かれながらその背に腕を回した。
「ねぇ、カカシ……本当に、そろそろ休んで。」
「うん……でも、今俺が一日休んだらそれだけ里の復興は遅れちゃうからね。」
「それは分かるけど……火影が倒れたら意味ないよ。」
「そこはほら……ここにストッパーが居るから。」
ね?と首を傾げてAの頬に手を添えるカカシにAは溜息を吐く。
「強制的に連れて帰ろうかな。」
「ハハッ……いつからそんな積極的になったの?」
この子ったらもうと口元を片手で押さえてふざけたカカシにAはその両肩を掴んで揺らす。
「そんな反応ばっかりするからっ!ナルト君にまでイチャついてるって言われるんでしょ?!ちょっとは自重して!」
「アハハ。それにしてもAも逞しくなったよね。昔はほんっと……逃げてばっかりだったのに。今じゃ呼び捨てで名前呼んでくれるし、逃げもしなくなって……俺の努力のお陰だね?」
「ハイハイ、そうですね。」
再三、いい加減呼び捨てで呼んでとカカシから言われ続けたAは、そうする他選択肢が無くて、二人の時はわりとカカシと呼びはするが決してそれに慣れた訳じゃない。
六代目とか火影様とかそう呼んでいるときの方が心は穏やかで居られる。
「でもホント……久しぶりにAに会った気がする。」
胸元に顔を埋めて言ったカカシに、Aは身体を固くする。
「ちょっ……ちょっと!!」
「フフッ……なーんで、こういうのには慣れてくれないのかね?」
Aの早まる鼓動と上ずる声に肩を揺らすカカシにAは動揺しながらそれでもその頭を抱え込んだ。
「これでも一応……成長もしてると思うけど。」
「確かに。うん……少し、眠いな……ごめん……A。」
腕の中でゆっくりと瞼を閉じたカカシの寝顔を見て、Aは息を吐いた。
「もー出てきて良いですよ。作戦は無事、成功です。」
Aの声を合図に火影室を離れた筈の二人の護衛が、やれやれと言った様子で扉を開けて入ってきた。
「まったくこの人は……ここまでしないと休めないのか。」
「困ったもんだな。A、ご苦労さん。」
「……私は別に何も。ただ、無駄に針を刺す技術は向上しましたけど。」
フッと笑って言ったAは、手元に隠し持っていた睡眠薬を塗った針を掲げて見せた。
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テン(プロフ) - さきさん» わー、さきさんありがとうございます。嬉しいです。君に届けたい〜のパスワードは、作品ページにも記載してますがカカシ先生のお誕生日ですよ^_^キャラ崩壊してますが、楽しんでいただければ幸いです。(レス遅くなり申し訳ありません^^;) (4月7日 21時) (レス) id: 45d5aa443d (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - めちゃくちゃおもしろい作品でした!君に届けたい歌があるのパスワードは教えてもらうことは可能ですか? (1月14日 22時) (レス) id: fc3eb456ce (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - honokaxxxvさん» honokaxxxvさん初めまして。コメントありがとうございます(^^)18フラグが探せるのであれば、『この作者の作品を全表示』という場所から飛べると思います♪私もあまりシステムに詳しくなくて、もし見れない時はまた教えて下さい(・・;) (2021年12月11日 13時) (レス) id: 4e1c1164bb (このIDを非表示/違反報告)
honokaxxxv(プロフ) - こんばんわ!久々占ツク開いて真剣に読みました( ¨̮ ) 『君に届けたい歌がある』を読んでみたいのですが18フラグを探せれる設定なのですが見つかりません( ´∵`) どう調べたら出てきますか、? (2021年12月10日 0時) (レス) @page40 id: 75aa42d988 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - 哀羅さん» 哀羅さんこんにちは!いつもありがとうございます(*^^*)引き続き続編も楽しんでもらえれば幸いです♪ (2021年1月14日 19時) (レス) id: d52e65ea9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年1月14日 0時