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「なら、良かったじゃない。これで晴れて両想いね。ま、最初からずっとそうだったけど。」
「両想いって……えっ?!無理!!無理だよ夕顔さんっ!!私、今までのままでいい!」
焦った様に必死に訴えてくるAに、様子がおかしいと思った夕顔は少し心配そうにAの顔を覗き込んだ。
「A?」
「だって……だってずっと、嫌われてると思ってたのに。好きだなんて言われても分かんないよ……どんな顔して接したら良いのかも、これを喜ぶべきなのかも……ぐちゃぐちゃで、よく分からない。」
「落ち着いてA。あのね、難しく考える必要はないの。そりゃーあの人が捻くれてたせいで、Aが苦しんだり悲しんだりしてたのも分かる。けど、シンプルに考えてみて?」
震える両手でしがみついてくるAの手にそっと手を当てて夕顔は優しく語り掛ける。
その声に呼応するようにAは夕顔を握り締める手に込めた力をゆっくりと緩めていく。
「シンプルに……考える?」
「そう。Aはカカシ先輩のことが好きなんでしょう?」
「……うん、好き。」
「ならそれだけでいいの。あとは、そのぐちゃぐちゃのまんま全部、あの人にぶつけちゃいなさいよ。」
「で、でも……嫌……かも」
「あーもうっ!大丈夫よ!!あの人はAが思ってるよりずっとAが大好きなんだから。嫌いになんて絶対ならない。保証する。何なら命、賭けてもいいわよ?」
悪戯っぽい笑顔で人差し指を立てて片目を瞑ってそう言った夕顔に、Aは目を瞬かせてフッと力の抜けた笑みをみせた。
「命って……そんなに?」
「そんなに。A、貴女本当に、愛されてるのよ。」
夕顔がほんの少し呆れたように微笑んで呟けば、不安に揺れていたAの瞳の色が変わり、頬に赤身が挿していく。
「愛され……て?」
言葉にして余計に恥ずかしくなったのか、両手を頬に添えたAに夕顔は可笑しそうに笑った。
「だから、怖がらないで。カカシ先輩にちゃんとAの想い全部、伝えてみなさい。」
「……う、ん。」
コクリと頷いたAを見て、夕顔は病室を後にした。
それから代わる代わる見舞いに来てくれる仲間達に、Aは食べきれなさそうな果物を配り、夕方再び診察を受けると、ベッドから立ち上がり軽く身体を動かしてみた。
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テン(プロフ) - さきさん» わー、さきさんありがとうございます。嬉しいです。君に届けたい〜のパスワードは、作品ページにも記載してますがカカシ先生のお誕生日ですよ^_^キャラ崩壊してますが、楽しんでいただければ幸いです。(レス遅くなり申し訳ありません^^;) (4月7日 21時) (レス) id: 45d5aa443d (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - めちゃくちゃおもしろい作品でした!君に届けたい歌があるのパスワードは教えてもらうことは可能ですか? (1月14日 22時) (レス) id: fc3eb456ce (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - honokaxxxvさん» honokaxxxvさん初めまして。コメントありがとうございます(^^)18フラグが探せるのであれば、『この作者の作品を全表示』という場所から飛べると思います♪私もあまりシステムに詳しくなくて、もし見れない時はまた教えて下さい(・・;) (2021年12月11日 13時) (レス) id: 4e1c1164bb (このIDを非表示/違反報告)
honokaxxxv(プロフ) - こんばんわ!久々占ツク開いて真剣に読みました( ¨̮ ) 『君に届けたい歌がある』を読んでみたいのですが18フラグを探せれる設定なのですが見つかりません( ´∵`) どう調べたら出てきますか、? (2021年12月10日 0時) (レス) @page40 id: 75aa42d988 (このIDを非表示/違反報告)
テン(プロフ) - 哀羅さん» 哀羅さんこんにちは!いつもありがとうございます(*^^*)引き続き続編も楽しんでもらえれば幸いです♪ (2021年1月14日 19時) (レス) id: d52e65ea9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テン | 作成日時:2021年1月14日 0時