【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

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「ぎゃーーー！！！」

他の乗客の悲鳴に加わり、一際大きいAの悲鳴が響き渡る。

このジェットコースターはほぼ垂直に急降下するのが売りで、軽いAの身体はいとも簡単に浮き上がった。

「な……にやってんでェ」

そのまま後ろにふっ飛ばされそうになったAを、沖田はとっさに片手で掴む。

「そーごぉおお」

死ぬかと思ったAは涙目で、凄まじい風圧と浮遊感を味わいながら
どうにかもう片方の手も近くの安全バーを掴むことに成功した。

「……アレ？ なんか楽しくなってきたアル」

するとこの状況にも段々慣れて、余裕が生まれてくる。

「キャッフー！」
「呑気だなァおい」

Aを支えている沖田の呆れたような声が聞こえた気がしたけれど、
何度目かの落下と初のジェットコースターをこうしてAは存分に楽しんだのだった。



「なんつーか、本当にタフな女だねィ」

降りた後、以前の自分と同じような体験をしたというのにケロリとしているAを見て、沖田は言う。

「すりりんぐで楽しかったアル！
また乗りたいネ」


それからは、全アトラクション制覇を目指すと意気込むAとそれに連れ回される沖田。

2人はお化け屋敷に入り、コーヒーカップに乗り、小腹が空けばポップコーンやらチュロスを食べ歩き。

新登場のシューティングアトラクションに乗れば、
『最後に出る撃ち落とした総得点を競い合い、負けた方は罰ゲーム』をしてみたりと思うままに楽しんでいた。

ちなみに勝負の結果はわずか1点の差で沖田の負けとなり
Aは罰ゲームとして売店にあるファンシーな付け耳カチューシャを沖田に装着させた。

「よく似合ってるアルヨ。うぷぷ」

「うっせー。覚えてやがれィ」

大きなリボンが目立つ、女の子用を選んだのはわざとである。

その後Aも、
「俺1人だけ浮かれてるアホみてーだからお前もつけろ」
と沖田から対になる男の子Ver.カチューシャをつけられたので、

傍から見ればこの遊園地定番の、仲良しカップルペアルックになっていて。




誘える女子もおらず、やむなく野郎数人で集まりやけくそで全員お揃いのカチューシャをつけて
「女なんかいらねーよな！」
と強がっていたモブ男A、B他からの

「う、羨ましくねーし！ ……ギリィ」

知らぬ所で羨望とやっかみの視線を受けていたのであった。

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