【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

7 ページ25

言うが早いか、沖田は前を向き歩き出す。

「早くこねーと追いてくぜ」

褒められたのだと理解したAは、ぱぁっと笑顔になり沖田を追いかけた。

「今いくアル！」



2人並んで、遊園地までの道を歩く。

「んふふ」

「急に機嫌いいな」

「だって、そーごが私のことまともに褒めたのなんて初じゃないアルか？」

隣を横目に見やる沖田と、見上げるAの目が合った。

「……最近、どうも物覚えが悪ィんでね
なんのことだかよく分かんねーや」

先程のことをすっとぼけるように、先に目を逸らしたのは沖田だった。

「ボケるにはまだ早いダロ」

誤魔化されたことに気づいたAは、少し不満げに口を尖らせる。

「ていうかお前、そんな服も持ってたんだな。
いつ見てもチャイナ服ばっかだから、俺ァてっきり替えの服一枚も買えねェのかと」

沖田の視線が、今度はAの着るワンピースへ。

「これアルか？
この服は、前神威にもらったやつアル。
確かに地球に来てからはほとんど着たことなかったナ」

沖田が、唐突に足を止めた。

「それ、お前の兄貴からの贈り物なのかィ」

「うん、そうヨ。
どうしたアルか、急に立ち止まって」

早く遊園地に行こうよと、Aは促す。

「……」
「そーご？」


「予定変更、その前に寄るとこができた。
ちっと付き合え」

「ちょ、どこいくアルかー！？」

そう宣言すると、急に方向転換して歩き出した沖田に
疑問符を浮かべながらAは慌ててついて行った。



そうして、沖田に連れられやってきたのはとある女性物の洋服店。

ここに来た意図も分からずキョロキョロと周りを見渡すAをよそに、
沖田は入ってすぐ、目についた女店員に声をかけた。

「すいやせん。
ちょいとこいつに合う服見立ててやってくだせェ」

こいつ、と紹介されたAを一度見て、にこやかに了承した店員は
そのまま沖田と軽い会話を交わす。

「あー、そういうの疎いんで、おまかせしやす」

その会話は沖田の一言が最後となり、近づいてきた店員がAに笑いかける。

「では、ごゆっくりどうぞ〜！」

そしてそんな店員が選んだ服と共に、口を挟む間もなくAはあれよあれよと試着室に押し込まれた。

「そーご、どういうつもりアルかー！
説明するアルー！」

「いーからはやく着替えやがれィ」

やっと試着室から反論するが、沖田からは急かされる始末だ。

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す