Episode:38→自由を渇望した鳥 ページ41
1年後＿＿＿＿847年。
｢緊張しているか｣
『いや……思ったよりは』
ついにこの日が来た。
壁外調査＿＿＿＿。
あたしがここに来て数年、その間に何回か壁外調査へ行っているのを見た。
……いつも、人数が少なくなって帰って来てた。
3分の2が残っていればいい方で、酷いときは半分くらいで帰って来るときも。
戦場の壮絶さを目の当たりにしたけれど、あたしもとうとうここまで来たんだな……。
｢そうか……ならいい。単独行動は厳禁だからな。必ず俺か、エルヴィン、もしくは……まぁ最悪の場合だが、ハンジを頼れ。ハンジがダメならモブリットだ｣
『そういえばモブリット、ついに副長だもんね。すごい出世だよ』
｢あいつは努力型だからな……。何より、ハンジについていけるってところが評価されてる｣
どんな評価だよ。
そう言いたくなるも、ハンジのフリーダムさを見てしまうと、頷かざるを得ない。
……本当にご愁傷様、モブリット。
｢これより、＿＿＿＿｣
エルヴィンの声が聞こえたと思ったら、そこかしこから雄叫びが聞こえて。
｢前進せよ！！｣
門が開き、調査兵団は壁の外へと駆け出した。
そこに広がっていたのは＿＿＿＿。
『…………空……』
数年前、ここに来たばかりのときのことを思い出す。
リヴァイに外へ連れ出してもらって。
" いいか……あれが、『空』だ "
" ……そら、…… "
彼が指差したのは、澄んだ綺麗な青空。
言葉が分からなかったあたしは、ただリヴァイの言ってることを繰り返して、ただ見上げて。
あまりの眩しさに、何かを言うこともできず。
幼心に、綺麗だと思った。
(でも……きっとあの景色すら、鳥籠の中のものでしかなかった……)
こうして壁外へ出て、馬で駆けて。
風を感じながら見上げた空。
悠大で、壁内で見たものより遥かに。
(自由で……美しい)
そう思った。
こんな風に自由でありたい。
狭い鳥籠の中で、決まった範囲しか飛べないなんて苦痛だ。
ふと、鳴き声をあげながら飛ぶ鳥が視界に入る。
『……鳥になりたい』
あたしは初めて、はっきりと。
"自由を渇望"した。
｢何言ってやがる……訓練のし過ぎで疲れたか？｣
『え、あ、なんでもない…！大丈夫！』
隣を走るリヴァイに話しかけられハッとする。
やばい。
ただ｢鳥になりたい｣とか言ってたら変人じゃん…。
｢…ちょっとした油断が命取りになる。空ばかり見上げてたら死ぬぞ。ぼーっとするな｣
『っ、了解！』
…大人しく前だけ見ることにした。
Episode:39→訓練の賜物→←Episode:37→約束
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深海(プロフ) - ゆんさん» まぁそうですよね。これに関してはごめんなさいとしかいいようがないです。申し訳ない！ (2019年7月15日 22時) (
レス) id: 7d50cb5b5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - ちょっとリヴァイ兵長のイメージが… (2019年7月15日 22時) (レス) id: 42e6ec1d64 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 水無月碧音さん» わー、嬉しいです！！ありがとうございます！ (2019年7月5日 12時) (レス) id: 7d50cb5b5d (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - 夢主可愛い…！応援してます！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: 9308ec7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：深海 | 作成日時：2019年7月3日 11時
