Episode:17→眠り ページ19
side→リヴァイ
『……』
食事も終わり頃、Aはうとうとして、船を漕ぎ始めた。
スプーンを握ったまま、ゆらゆらと。
……シチューに顔を突っ込みそうだ。
｢……おい、食うか寝るかどっちかにしろ｣
そう言うと、Aはハッと意識を取り戻して食事を再開するが、数分もしない内に同じ状態になった。
｢、おっと！｣
Aの隣に座っていたハンジが、シチューにドボンしそうになったAを支えた。
そして、顔を伺った上で、首を振る。
ダメだ、もう寝てるよ。
そう言うように苦笑したハンジは、Aを抱きかかえた。
俺とエルヴィンも頷き、食器を片付けて外へ出る。
｢……ガキか、コイツは｣
すーすー、と寝息を立てるAの頬をつつく。
｢ガキだよ。心も、……きっと体力もね｣
ハンジの答えに、まぁそうだろうな、と思う。
力があって、戦えたとしても。
それは生きるためであって、最低限必要で身につけたものだ。
体力が簡単に追いつくわけじゃない。
ましてやまともに食事もできなかった環境じゃ、ガキに培えるものなんてありゃしねぇだろう。
『……リヴァイ……』
｢！｣
Aに名前を呼ばれた。
｢…なんだ｣と応えると、ハンジが小声で｢寝言だよ｣と言う。
｢寝言に応えると、応えられた側は死ぬと聞くな｣
｢ちょ、エルヴィン。不吉なこと言わないでよ…可哀想じゃないか｣
焦ったようなハンジの声は多少大きくなっていたのか、Aが目を覚ました。
｢あ、ご、ごめんね？A、起こしちゃ……｣
『……リヴァイ』
｢……あ？｣
今度は、袖を掴まれた。
……振り払えるわけがねぇ。
相手は、子ども。
｢……おい、まさか｣
｢一緒に……寝てあげたら？｣
｢おいおいおい待て待て、冗談だろう。ふざけるのも大概にしろ。俺はな、てめぇみてぇな偏執的趣味はねぇんだよ｣
｢なっ、失礼な！？｣
｢十分な奇行種だろうが、この変態。ロリコン扱いされるくらいなら舌噛んで死んでやる｣
ハンジと言い争っていると、今度は袖を掴む力が強くなった。
……さらには、目に大粒の涙を溜めている始末。
『……リヴァイ……っ…』
｢……………………………………｣
俺が悪ぃみてぇな顔しやがって。
……いや、むしろ俺の味方はここにはいねぇ。
エルヴィンも明らかに｢……可哀想だろう｣と言いたげな顔を俺に向けてくる。
｢〜〜〜っくそが、……分かった……分かったよ…｣
俺は覚悟を決めた。
｢……一緒に寝りゃあ良いんだろ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
深海(プロフ) - ゆんさん» まぁそうですよね。これに関してはごめんなさいとしかいいようがないです。申し訳ない！ (2019年7月15日 22時) (
レス) id: 7d50cb5b5d (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - ちょっとリヴァイ兵長のイメージが… (2019年7月15日 22時) (レス) id: 42e6ec1d64 (このIDを非表示/違反報告)
深海(プロフ) - 水無月碧音さん» わー、嬉しいです！！ありがとうございます！ (2019年7月5日 12時) (レス) id: 7d50cb5b5d (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - 夢主可愛い…！応援してます！ (2019年7月4日 22時) (レス) id: 9308ec7c9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：深海 | 作成日時：2019年7月3日 11時
