茜の蓬莱蕉 (ページ16)

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本丸を維持するための新たな審神者と対面することになったのは、およそ一月後だった。

どうせ、今回も同じような人間だろうと思った。

人間はみんな同じだって。

「俺、加州清光。とりあえず暫くは近侍になるからよろしくね」

小さくて、なまっ白くて、すぐに折れちゃいそうな身体。

「よろしく」

もし本丸の刀剣男士に危害を加えるなら、また片付ければいい。

前の審神者より、それも簡単そうだし。

必要な霊力さえ手に入れば、後はどうでもよかった。

「…貴方は、私が憎くないの？」

憎いわけがない、霊力の供給媒体としか思っていないから。

「…話を聞いた時は、腹が立ったよ」

だから、前の審神者みたいに殺されたくないのなら

「でも、あんたは別の人間だから」

自分の身が可愛いのなら大人しくしていろと、そう伝えたつもりだった。

なのに。

「……ありがとう」

何で、あんたが泣きそうな顔なんかするの。

何でお礼なんて言ったの。

前任の審神者みたいに、罵倒して手を上げればいいのに。

そうすれば、すぐにでも斬り捨ててやるから。

審神者なんかやらないって、痺れを切らせば

審神者としての力の献上、その大義名分の下に、その首を落としてやれるのに。

「え……と、なんでお礼言ったの？俺、いま罰を受けても仕方の無いこと…言ったのに、」

戸惑って、声が震えた。目の前のこの人が一体何を考えてるのかわからなくて……理解してしまうのが怖くて。