私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

彼なりの慰め方。　＜彼ｓｉｄｅ＞ ページ38

「A、帰ろうぜッ」


俺が笑いながら誘うと、彼女はビクッと体を震わした。


その姿を見て、何故か面白いと思いニヤけた。


ん？何だ何だ？驚いてんのか？コイツ。可愛いヤツめ。この野郎。


まぁ突然声かけたことだしな、驚くのは無理ないか…


と、思っていたが。しかし。


「う、うん！…わかった…」


彼女は恐る恐る、というような答え方で鞄を持ち、俺の隣へ来た。


「ご、ゴメンねっ。帰ろう！」


見上げるように俺を見て、笑顔で言う。


…あれ…？なんか様子…おかしくねぇか？


なんて言うか、笑顔が貼り付けられた感じがして。


…何かあったのか？


俺は始め、そう思ったが、まぁ気のせいだろうと認識してしまった。


異常だ、と気付いたのは帰り道。


「なぁA。今日体育でな、大輝が…」


今日の体育で大輝は跳び箱から大胆に落ちた。


まぁ幸い、骨折とか一大事には至らなかったんだけど。


それをAに面白がりながら話す。


「そうなの？そっか、大輝、大丈夫、かな…ハハ…」


俺と目線をそらし、力なく笑う彼女。


そこで俺は、違和感を覚えた。


おかしい。いつもテンションの高いAが元気じゃない。


俺と話しているとき、バカなんじゃないか、コイツの頭は何が入っているんだってくらい元気なのが、いつものAちゃん。


今日は違う…というよりか、俺が話しかける度にビクビクしてねぇか…？


俺は探るべく、足を止めた。


「ど、どうしたの、仁？」


「お前、今日元気ねーな。何かあったのか？」

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