私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

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「おっ、お願い？！」


はぁなんじゃそりゃ？！


私は展開について行けず、聞き返す。


「そう」


彼はカステラを串に刺して、チョコを絡めると…私のあごを反対の手で掴んだ。


「私は仁にあーんしてもらう方が美味しく食べられますーだからもっとやってくださいーって。

お願い、できるよねぇ？」


「はっ、はぁ？！誰がそんなものっ…」


「あれ？しないの？…そうなのっ…？」


反抗すると、彼は俯いて…カステラをお皿の上に置いた。


そして両手で顔を覆い、…何か嘆き始めたぞオイ。


「うっ…何でぇ…？俺、Aに美味しく食べてもらえようと思ってやったのに…うう…
そんなに嫌なのねぇ？俺のこと嫌いなの？そうなんだよねそうなんだよね？

別に嫌われてもいいもん…別に悲しくなんてないからぁ…」


「えっ、えええ？！そこまでする、するの？！」


内容を聞いて絶句。というか明らかに被害妄想としか言いようがないぞ。


何か聞いててかわいそう…というか仁が惨めに思えてきた…


「わぁぁ…別に仁のこと嫌いなんかじゃないからさ…お願い悲しまないで？」


私が仁に近づいて、肩にポンと手を置くと。


「そっか。じゃぁお願いしてごらんっ？」


先ほどの嘆きはどこへ行ったのか。


にぱぁっと笑って、私の頬を手で挟んだ。


「はっ…ぇ…」


「ほーらーはーやーくー」


地味にいらっとくる。でもこれは私が言わないと…この均衡状態は崩れない。


賭け事をしたわけではないが、何故かそれに負けたように悔しくて…それでも、言ってやることにした。


悔しいんだからな…っ。


「…ッ…私はッ！仁に…ッ、あ…んしてもらったほうが…ッ美味しく食べられますぅ…ッ」


「可愛い可愛い。よくできましたっ」


仁は素早くカステラを持って私の口の中に突っ込んだ。


そしてその後は…もう、解りますよね。

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