私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

その後どうなったかっていいますと。 ページ18

「ふぁ…ああああ〜…」


大きな口を開けて欠伸をするのはご満悦の仁。


対して私は膝を抱えて蹲っていた。


あの後…そう、何度も恐怖の「あーん」をさせられた後。


どうやら仁はチョコの半分を私に食わせたらしく、鍋にはほとんどチョコは残っていなかった。


それを見てニッコリと笑い、残りのチョコは全て彼が片付けた。


はぁ…仁がフォンデュしようっていうから、やったことなかったからすっごく楽しみにしていたんだけど…こんなことになるなんて。


何か騙されたって感じがする…。


「あー…食った食った」


幸せそうに言う仁は満面の笑みをしてるんじゃないかって、見なくても解るほどにご機嫌。


そりゃぁそうですよね…だって自分はほとんど食べてないんですもん。食べさせてんですもんね！


まぁ、これでもうしばらくはチョコ見たくないって気分になる。


それどころかトラウマになりそう…。


「ん、A？何どうしたの？お腹痛いの？」


蹲る私に異変を感じたのか、心配そうに言いながら背中を突いてくる。


あれなんだ、珍しく優しいじゃないか。


「ううん…痛くはないよ…いっぱいだけど」


無視してやりたいが心配をかけないためにも一応返答。


というか心配してるときって背中突くんじゃなくて普通摩りません？！


「そっか。ならよかった。じゃ紛らわしいから顔上げといて」


鬼だって思ったのは気のせいでしょうか。


そしてさっき一瞬だけ優しいって思ってしまったのも気のせいでしょうか。


「うぐ…お腹いっぱい」


渋々顔を上げると、そこには満面の笑みの仁がいた。


「やぁAちゃん。どうだったチョコフォンデュ。楽しかった？

　…お、そうだっ」


仁は私に質問を投げかけた後、何かを思い出したように台所へと向かった。


そして、水色の…なにやら見覚えのある袋を手にしていた。


「…それ、まさか」


「そうだよー？Aちゃんの作ってくれたチョコでぇす」


私が問うと、彼はニヒッ、と意地悪そうに笑った。

２　＜彼ｓｉｄｅ＞→←８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す