【文スト】自刃しようとしたら路地裏にいて幼女趣味に捕まったんだが 2

『ほっといて欲しい時もある』 ページ15

体が少し痛む。

少し力を使いすぎたかも知れない。

『異能力...』

これは、本当に異能力なのか？

何故なら私は、代償を払わずに能力を発動させた。

この力は何なのか。
そもそも私はー

『何だったか』

あの施設に来る前も、ある建物の中に閉じ込められていた。ただそれだけだった。

でも思い出したこともある。



私は幼少の芥川と森それぞれに何処かで出会った事がある。
ぼんやりと最近思い出したのだ。


何処か懐かしい場所で、ずっと前に。


そう、私は何かする事があった。
まだ、死んではいけない程に。
あの短刀で死のうとしていた時には忘れていた事だ。


『だが、死なねばならないとも思ってしまう。』


何故。


『...護れなかった。』

そして、今回の任務の失態を思い出した。
少女の顔が今も脳裏にこびりついて離れない。

死を目の前にして絶望し、それを分かっていながら自らの腕にいるより小さな存在を護ろうとした。

私はまた、救えなかったのだ。
これだけの力を持ってして尚も、それに振り回される。


『此れでは只の飾りじゃないか。』

何の音もしない医務室。
気を紛らしてくれる物何て何もない。


『抜け出してしまおうか』

そう口に出せば躰は勝手に動き出した。
点滴も全て取り外し、寝台から入院服のまま飛び出した。髪は手元に置かれていた簪で纏め上げた。

そして窓から逃げ出した。

何処でもいい。
誰も見ていない場所に行きたかったのだ。

自分が恐ろしく無力に感じられたのだ。
昔からだ。
訳も分からず閉じ込められて、
何かのために目の前で殺されたり死んでいく人々を何時も救えなかった。

気がつけば一人墓地の外れまで歩いてきていた。
誰もいない、昔の古寂れた墓地だった。

彼岸花がサラサラと夕暮れの中を揺れている。


『うわあああああぁぁっ、、、うああああぁぁ』


しゃがみ込んで、迷子の子供みたいに愚図って泣いた。

殺した人々も昔は無垢な子供だったかも知れないと思った。

冷静に成れば成る程救う為だと今迄殺した事が苦しくなる。


今の今迄目を逸らしてきただけだ。
結局人殺しの私も人殺しに違いない。

殺さなきゃ殺される。
分かっていても悲しい。

考えれば考えるほど敵わない話だ。

でも歪んでしまった人は殺さなきゃ救いにはならない。

でももし彼らが昔闇社会に売られてしまった子供だったとしたら

闇の中での正義こそ、最も苦しい事やも知れぬ。

仕方がないのだ。
マフィアなりのやり方の正義だ。

それでも気分は低迷していくばかりだった。
過去を変えて全員救ってあげれたら良かったのに。

憂鬱→←お久しぶりです

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す