【す.と.ぷ.り】偽装少女【さ.と.み】

だから ページ32

『こっころん、あの・・その』


こ「大丈夫だから、もう言わないで。」


私は、どうすればよかったの？


もし、ころんのところに行ってたとしても・・。


さ「ころん、ごめん。あんなことになるなんて。」


さとみが、頭を下げる。


こ「俺も悪かったよ。突然あんなこと言っちゃったし。」


『・・。』


３人とも、すれ違ったんだろうな。


自分の気持ちを強引に突き刺して。


全員幸せなんて無理なのか・・。


『ころん、私は』


こ「正直、泣いた。」


ころんの声は力がこもっていた。


だからこそ、心に刺さったんだろう。


『私、どうしたらいいのかわからなくて。』


さ「・・だよな、一番Aがつらいよな。」


こ「結局、Aはさとみを選ぶの？」


『・・それは。』


な「自分の気持ちなんじゃない？」


なーくんの言葉が頭でリピートされる。


『うん・・。』


こ「そっか。・・あっ、もしもし？」


ころんは、突然ポケットから電話を取り出し誰かに電話をし始める。


なぜに、突然・・。


？「なんですか？ころちゃん。」


この声は、るぅとか。


こ「ダメだったわ。例の話。」


え？例の話？


る「そうですか、でもころちゃんは頑張りましたよ！！」


こ「ありがとっ。るぅちゃん。みんなにもお礼伝えといてくれる？」


る「はいはい、わかりましたよ。じゃあまたあとで。」


『えーーっと、さっきのは？』


こ「みんなにも協力してもらってたんだ。」


さ「恋のこと？」


こ「そう。」


『じゃあ、なーくんたちこのこと全部知ってたのかな。』


こ「たぶん。どこまで知ってるかはわかんないけど。」


さ「・・・ころんはいいの？」


突然さとみが低い声を出す。


こ「わかってたんだ。無理だろうなって。」


さ「じゃあ、なんで？」


こ「あきらめたらチャンスを逃した感じがして。やれることは、できるところまでやろうって。」


さ「！」


こ「結末がわかってても、Aのことが好きって気持ちはなくならないから。」


さ「・・ころんは、勇気があるんだな。」


こ「さとみだって勇気、持ってるじゃん。Aがいじめられてた時、助けに行ったのは、
　
　 さとみだろ。あのときは、俺の足びくともしなかったよ。」


さ「・・・。」


こ「だから、Aのこと、お前が幸せにしてやれよ。」


ころんの目から何かが零れ落ちた。


ころんのこの笑顔は、一生忘れないだろう。

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