最後の別れ ページ28
話も終わり夜も更けた頃、
一本の蝋燭で照されている部屋に三成は居た。
石)「・・・・」
今に起きるのではないかと思う程穏やかな表情で、さらに現実がわかない。
佐)「いつまでそうているつもりだい?そんな事をしていたって彼女は・・・・」
佐助は未だ認めきれていない三成に対して苛立ちを覚え、
いても立ってもいられずにこの部屋に来て説得を試みたのだ。
石)「何を言っているのだ貴様は、Aならここに・・・」
Aから視線をそらさず、淡々と語るその様子に対して我慢が出来なくなり、
気付いたら三成の胸ぐらを掴んでいた。
佐)「何度言えば分かるっっ!もう・・・居ないんだよ・・・・」
服を掴んだまま俯き、涙をこらえる。
石)「離せ・・・」
佐)「俺もAちゃんが好きだった、今もそれは変わらない」
震えを必死におさえながら、本来なら言うことのなかった事をぽつりぽつりとのべ始めた。
佐)「だけど、Aちゃんはアンタを選んだ・・・だから俺は憶測でしか色々な事が分からない」
石)「・・・・」
佐)「アンタは、あの人がどんな人間か、自分が一番よく知っているはずだろう!」
顔を上げ、光を失った様な目をしている三成の顔を正面から睨み付ける
佐)「Aちゃんの事だ、心配かけないようにと思って、きっと最期まで笑顔でいたんだろうな」
襟元から手を離し、その場から立ち去る
佐)「俺は男を探す、アンタはしばらくそこで考えてろ」
幸)「さ、佐助っ!」
名残惜しげにAのそばを離れ、佐助の後を追う
石)「・・・・そうだな」
蝋燭を消し襖をそっと開け、Aをふりかえる
決して明るくはない月明かりだったが、顔を見るのには十分だった
石)「貴様と出会ったのも、こんな月夜だったな・・・」
三成は愛しげにAの頬を撫で、今度こそ最後の別れを告げた。
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作者名:おもち | 作成日時:2014年4月12日 20時