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最期まで ページ25

石)「・・・・」

貴)「・・・・・」

辺りは三成さんが地面を踏みしめる音だけが響きわたり、
少しの間だけ二人のあいだに会話はなかった。

しかし今のAにとっては
この静かに揺られているこの時が、
たいそう幸せに感じられたのだ。


貴)「三成さん・・・」

石)「何だ」

出会った時と変わらない
不機嫌そうに見えるその顔も
もう見られなくなるのだと思うと少し寂しい。

貴)「もっと笑顔になれないんですか?」

両手を少し伸ばし、三成さんの頬を摘まんで上に持ち上げる。

石)「なっ!Aっ!はなひぇっ!!」

わたしに頬を摘ままれているせいで、上手く喋れていない。

その様子は、わたしにとって可笑しくも可愛らしいものだった。

貴)「そんなんじゃ、皆怖がってにげちゃいますよ?わたしは三成さんが心配です!」

石)「それならばきしゃまはずっとわたひのそばで、訂正していれば良いだけの事ではにゃいかっ!」

貴)「フッ・・・・」

思わず笑いがもれてしまった。

普通に聞けば何か思う事があるような台詞だが、しっかり言えてないので決まっていない。

さすがに可哀想になってきたので、名残惜しいが両手をそっとはなした。

石)「っ・・・・!!」

両手を離しただけなのに、
先程の照れたような表情から一気に不安の色が現れた。

貴)「心配なさらないでくださいよ・・・」

石)「・・・・・」

三成は無言で歩く速度を速めた。

Aが心配をかけないようにと気丈に振る舞っている様を見ているのが苦しかったのだ。

貴)「三成さん、お慕いしておりました・・・」

三成さんの側に居られた事がわたしの幸せだったから
やり残したこと、喋りたい事は特に無かった。

それに、そろそろ視界が霞んできてしゃべる事も難しくなってきた。

石)「た、だと?まるでこれからは違う場所へと行ってしまうかの様な物言いだな」

また少し、速くなる。

貴)「そんな、あげ足とらないで下さい・・・」

石)「フンッ、変な事を言うからだ」

でも、もうそんなやり取りも出来ない。

貴)「三成さんと出会えて、楽しかったです・・・」

無い力を全て出しきって出来た事は

三成さんの頬に触れる事だけだった。

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設定タグ:戦国BASARA , 石田三成 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:おもち | 作成日時:2014年4月12日 20時

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