エピローグ後 ページ21
三成さんの手をずらした先には、気高く美しい月が、外側の襖からのぞいている。
満月であった。
石)「そういえばA、月が・・・満月が苦手だと・・・」
はっとした様に言い、閉めてこようと起き上がろうとする
石)「・・・どうした?」
服の裾を掴み、閉めに行くのを止めた。
貴)「大丈夫です」
わたしは三成さんの方に向き直り、その瞳を見つめた。
石)「だが・・・」
心配そうにしているが、わたしが手で元の位置に戻そうとすると、大人しく従ってくれる。
貴)「いつまでも引きずってはいられませんし、三成さんと一緒にいるうちに忘れてしまっていました!」
もちろん、あの事実は無かった事には出来ない程にわたしの心に穴をあけた。
だが、わたしが好きになった人は月とよく似た人だ、知らないうちにもう嫌悪感を抱く事はなくなっていた。
石)「A・・・」
わたしよりも大きな手が頭に添えられる
石)「この先、お前が私以外を見ることは許さない」
貴)「ふふっ、でもそんなこと言われたら、このお城に居る人達ともお話することが出来ませんよ?」
もちろん、何が言いたいかは分かっている、
私以外と恋仲に落ちる事は許さないと。
石)「ふんっ、減らず口が・・・まぁそれもAだ」
そう囁いた後、三成さんは蝋燭の炎を消した。
二人は月明かりに照され惹かれ合い、そして結ばれる。
部屋に射し込むそれは、輝きを失う事なく二人を見守り続けた。
〜終〜
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作者名:おもち | 作成日時:2014年4月12日 20時