エピローグ前 ページ20
星々が瞬き、月が真上に昇る頃、三成さんの部屋へ呼び出された
今日は一段と外が明るかった。
貴)「何の用だろう」
夜行くときはあっても、今日みたいに遅い時は珍しい
角を曲がると、うっすらと障子が行灯の様に光が灯っている部屋があった。
襖のすぐ前で正座をし、声をかける
貴)「三成さん、Aです」
石)「入れ」
襖を開けて一歩くらい進んだところで閉めてから再び前を向く。
ゆらゆらと揺れる蝋燭の光に照らされながら正座をして座っていた。
そんな三成さんの横顔からは、どこか妖艶さを感じられ、瞬きをする間が惜しいくらいに魅力的であった。
石)「何故そんな端の方に座っている、早くこっちへ来い」
ついつい見とれてしまって襖の横に座ったままだった。
貴)「はい」
わたしはに2〜3歩進んで止まる
石)「もっとこっちだ」
まだそんな所に居るのかと言いたそうな顔をしながら、近付くようにと言ってくる
もう寝る前だったのか、布団が敷いてあった。
さすがに踏むわけにはいかいので、それを挟んで向かい合う所まで進んだ。
石)「・・・・」
心なしか三成さんは浮かない顔をしている
貴)「えっと・・・」
私が口を開いた瞬間、何かがふっきれたかの様に、
右腕を掴まれ、勢いよく布団の上へと引っ張りこまれた。
貴)「お、驚かせないでくださいよ！」
何の悪戯かは知らないが、かなり驚いたので抗議の視線を送る
石)「・・・・」
何か言われると思いきや、片手で目隠しをされ、後ろからまるで壊れ物でも扱うかの様にそっと抱きしめてきた。
貴)「三成さん？」
視界が真っ暗だが、三成さんがやっている事だと分かっているので、不安はない。
石)「まさかこんな日が来ようとはな・・・」
過去をふりかえり、まるで独り言のように呟いている。
相変わらず目は隠されたままだが
貴)「確かに、出会い頭に斬りかかって来た人にこんな事されるとは・・・」
石)「あの時の事は忘れろ！仕方がなかった」
見えていなくても、焦っている様子が浮かんでくる。
貴)「忘れられる筈ないですよ、あの時初めて三成さんと出会ったんですから」
石)「そうだな、たしか、こんな月夜だった・・・」
私は少し緩められた手をずらした。
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作者名：おもち | 作成日時：2014年4月12日 20時
