三月のクローバーコレクト 3【声優】【学園モノ】

自己嫌悪 ページ34

「なにが、よかったの？」

梶「ん？いや、ふたりが変わってなくてよかったなーって。ふたりともずいぶん変わったって風の噂で聞いてたから」

「………」

良「……噂なんて信じんなよ。どうせ大半は嘘っぱちなんだから」

梶「そうだね！……あ、僕ちょっとジュース持ってくるよ」

「うん！いってらっしゃい」




裕貴くんが席をたちキッチンに行くと、良平先輩がぼそっと呟いた。




良「大丈夫か」

「………なにが」

良「裕貴の前で緊張するのはわかるけど、そんなに作らなくてもいいんじゃねえの？」

「作ってないよ」

良「どう見ても作ってるだろ」

「それを言うなら良平先輩だって！………昔の口調になってる。合わせてるんでしょ。これで昔の仲良しな私たちが出来てるんだから、それでいいじゃない」

良「………なら、もうちょっと顔に出さない努力をしろよ。お前、さっきめちゃくちゃ怖い顔してた」

「さっき…？」

良「裕貴が『変わらなくてよかった』って言った時だよ。あいつも無責任だよな、一番最初に変わったくせに……」




ドンッ…！…とテーブルを叩くと、そのまま立ち上がった。




梶「Aちゃん？どこ行くの？今からしょうこさんのデザートが……」

「……ごめん、ちょっと部屋に戻ってるよ」

梶「Aちゃん………」




急いで部屋に戻ってベッドに倒れ込む。

その通りだ、そう思ったよ。『先に変わったのは裕貴くんじゃん』って。『置いてったのは裕貴くんでしょ』って。




(………ほんと性格悪い)




こんなの妬みだ。裕貴くんが悪いんじゃない。悪いのは、変わった気になってた私だ。

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