厳しい監督 ページ48
未「違う!もうちょっと熱愛的に!禁断の愛!背徳感を出して!棒読みやめろ!」
「監督厳しい………」
未「もう一週間切ってるんだよ!気合い入れて!」
わりと順調にいってると思いましたね。実はひとつ大きな問題を抱えていて、それがこの演劇パートだ。
推薦で大学合格がほぼ決まっていて暇であろう浅沼会長に脚本を頼み、『ファンタジー系』とだけ注文をつけ出来上がったシナリオが、まあ、そのなんというか……。
「……ねぇ、これ私が男装する意味あるの?江口で良くない?」
未「年下からのタメ語っていうのがいいんだよ!美少年!美少年萌え!」
「同い年なんだけど……」
未「じゃあもう一回、最初から通そう!みんな位置について〜」
その脚本というのが、異国のお姫様である女性と、幼い頃から泥棒をやってきた少年の恋の物語。
国の宝であるガーネットを狙って泥棒に入った少年キーラ。誰もが寝静まった夜、城に忍び込むと、運悪くお姫様に見つかってしまう。
姫「『まって!誰にも言ったりしないから、どうかいかないで!』」
少年「『………』」
姫「『よかったらその、お話しない?』」
少年「『………箱入りのお嬢様が泥棒なんかと話して楽しいわけ?』」
姫「『私、幼い頃からここから出たことがないの。良ければ外のお話をしてくれないかしら』」
少年はガーネットを盗むという任務を成功させると『正式に団に入れてやる』と海賊のカシラに言われていたので、絶対に諦める訳にはいかない。
少年は少しでも宝石の手がかりを探ろうと、毎晩まいばん姫の部屋の前に現れ、話をすることにした。
姫「『まぁ、それからその海賊船よりも大きい魚をどうしたの?』」
少年「『船一番の剣の達人であるアルバがお腹を裂いて、コックのベニーが見事に刺身にしたんだよ。こっれくらいの大きな刺身だったな』」
姫「『すごい!そんな大きなお刺身食べてみたいわ!それでそれで?他にはどんな国に行ったの?』」
少年「『砂で囲まれた暑い国の話はしたっけ?耳の生えた人間がいる国なんだけど……』」
育ちは違えど、幼い頃から歳の近い友人がいなかったふたりは次第に打ち解けていき、いつしかお互い惹かれ合っていく。
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ななき。(プロフ) - 春さん» こちらにもコメントありがとうございます!これからも気長にお付き合い下さい! (2019年10月20日 13時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 新作おめでとうございます!応援してます!(^-^)v (2019年10月20日 10時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年10月19日 21時