【文スト】●依頼人だったんですけど●【太宰治】

〈21〉反論 ページ21

「だいたい・・・！」


『ちょっと待ってってば。』


少しだけいつもより低い声が出た。


『嫉妬とか勘違いとか、いっそのことどうでもいいですが物に当たってお店に迷惑をかけないでください。』


「あんたが悪いって言ってんのよ！太宰さんもやっぱりおかしいわよ、こんな女を好きだなんて！頭大丈夫！？」


・・・・・・・・。


『・・・さっきっから勝手なことばっかり。』


何故か手が震えるほど、胸がモヤモヤしている。


『貴女、太宰さんのことが好きなら好きってきちんと伝えました？』


「なっ・・・！？」


真っ直ぐに女の人を見れば、少し目が泳いでいる。


『確かに仕事しないし、しつこいし、サボり魔で包帯無駄遣い装置自 殺嗜好者だけど。』


「え、こんな時にいじめ？」


『だけど、好きな人にはきちんと伝えるし、相手のことをちゃんと考えてる。貴女みたいに気持ちも伝えないで勝手に嫉妬して、周りに迷惑をかける、太宰さんをおかしいって言うなら、よっぽど貴女の方がおかしいと思います。』


自分じゃないみたいにスラスラと言葉が出てきた。


あぁ・・・だって、太宰さんが侮辱されたみたいなのが許せなかった。


それで怒ってるの？


私が？


女の人は顔を真っ赤にして怒っているのが分かる。


口をぱくばくしているけど、言葉が出ないみたい。


『人のせいにして気持ちを伝えないなんて。』


太宰さんの背中を押して、女の人の前へ。


『私は彼女じゃないし、』


ズキン・・・


あれ、何で？


『きちんと伝えるべきだと思います。』


胸が・・・痛い？


『私はお店の方に説明してきますので。』


二人を残して避け置き場を出た。


ただ、胸が痛いし気分は最悪。


だけどおばちゃんに説明してからだね。


良い匂いに少しだけ胸があったまって、仕込み中のおばちゃんに声を掛けた。


犯人と理由を告げれば、おばちゃんは目を丸くした。




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【文スト】●彼らへの最適解●が完結しまして、新しく連載を始めます。


【文スト】●彼はまさかの初心でした●【中原中也】

もしよろしければ此方もお願い致します。


●依頼人だったんですけど●も完結に向かっています。


どうかお付き合い、よろしくお願いします。


2017.10.9 月宮 柚妃

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