新しい住人 (ページ13)

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12話　一色ページ13

昨日のアレは……いや、深く考えるのはよそう。思い出すとかなり恥ずかしい……。
きっとあれは外国式の挨拶だ。そうだ。そうに違いない。

「おはよう。仕事？」

「おはよう。君は今日も綺麗だな」

「ふふっ、朝から口が上手いな」

「まさか、本心だよ」

「どうだか」

そんなやりとりをしていると部屋からカーズが来る。

「起きたのかカーズ」

「ん、ああ。今日は休みなんだろうA」

「休み、と言っていいかはよくわからないが今日は一日フリーだな。外に行く予定も特にない」

のすっとカーズが私の頭に顎を乗せる。
正直重たいが大型動物が気を許している姿だと思えば多少は楽に思える。

「そういえばディオは？」

「あいつはおれより起きるのが遅いからな」

「早起きする吸血鬼もどうかと思うがね」

「くく、確かにな」

そんなこんなでカーズとテレビを見ていると飛び込むようにディオがやって来た。

「ディオ、もう少し静かに来れないのか」

「なぜ二人で楽しそうにテレビ見てるんだ！起こせ！！」

「吸血鬼は夜行性だろう」

「貴様も夜行性だろうカーズ！」

「お前よりは早起きだ」

「食物連鎖のトップに立つような二人がしょうもない喧嘩をするな、みっともない」

私がそう言うと二人は心做しかしょんぼりしているように見えた。
叱られた大型犬じゃあるまいし……可愛らしいからなしではないが。

「A、こっちに来るんだ」

「Aはこのカーズのとこにいたのだ、移動する必要は無い」

「なんだと」

「フン、やるか？」

「それをやめろと言っているんだ大馬鹿者共」

どうしてこいつらはこう……はぁ。
もういい。いちいちツッコんでいる私が馬鹿みたいだ。

「私がお前らの間に座る。それでいいだろう」

「……あぁ」

「いいだろう」

面倒くさい人外だ、全く。