Honey【葵ゆうた】

wink２３ ページ24

私が好きと言った、次の瞬間。



「わっ！？」ｸﾞｲｯ



私は抱き寄せられ、ゆうた先輩のうでのなかにいた。
突然の行動にビックリした。



「…ごめん。」



ゆうた先輩がか細い声を出す。



「…なんで謝るんですか」



「信じてあげられなくて、ごめん。」



あぁ、そっか。



辛かったのは、苦しかったのは
私だけじゃないんだ。



ゆうた先輩も葛藤を繰り返して。



きっと



「俺、Aちゃんはアニキが好きなんだって疑ってなかったから、いっぱい泣いたよ。」



「…私もです。」



涙なんて、何リットル流したかわかんないよ。
全部ゆうた先輩のせいだし。



「泣くのも落ち込むのも、苦しむのも全部ゆうた先輩だけです。」



私はゆうた先輩を抱き締め返した。



ずっと、好きだったんだよ。



この時を、ずっと夢見てたの。



思いが通じ合う、この時を。



「ゆうた先輩、好きです。」



「俺も、Aちゃんが大好き。」



強く強く抱き締め合う。



ふと、ゆうた先輩に体を引き離された。
二人の間にちょっとだけ距離ができた。



ゆうた先輩が私の頬に手をあてる。



あ、ヤバイ。



これってもしかして…



「…Aちゃん…」



私の名前を呼ぶ。
その声があまりにも愛しそうで、胸がパンクしそうなくらいうれしい。



私はきゅっと目をつむった。



いつくるんだろう。



「…Aちゃん、目ぇ開けて。」



「えっ？」



ゆうた先輩に言われ、恐る恐る目を開ける。
するとそこには…



「うわぁっ…！」



綺麗な、オレンジの空が広がっていた。



いつのまにこんなに時間がたってたんだろう。
授業、サボっちゃったな。



ひなた先輩、心配してるかな。



そんな思いが頭をよぎるけど、スーっと抜けていく。



頭のなか、ゆうた先輩でいっぱいになる感じ。



「…ねぇ、Aちゃん。」

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