Honey【葵ゆうた】

wink１０ ページ11

「じゃあいきまーす！せーの…」



「「〜♪」」



なるほど…
この二人は…



「ちょっといいですか？」



「うん。なに？」



私は深呼吸をし、一気に喋りだした。









「まず音程が不安定です。サビの部分は二人のユニゾンですよね？そこですが、二人の音程が少しでも違うとハウリングといって、わずかに波ができてしまうんです。それは勿論よくないものですから、音程を取り直してください。それと、二人の掛け合いのタイミング、もうちょっと気をつけてください。」









私は一呼吸おき、顔をあげた。



「こんな感じ、ですかね…？」



すると二人はしばらくのあいだボーッとしていたが、はっとなると手を叩き始めた。
レッスン室に拍手の音が響く。



「スゴいスゴい！先生に言われたのとほとんど同じだ！」



「そんな細かいとこまで…ホントすごいなぁ」



「い、いえ…大したことないです…」



顔から湯気が出るくらい恥ずかしい。
そんなに誉めちぎられたら、照れるしかないじゃん…



「でも、年上に対してこんだけ言えるってスゴいよね。プロデューサーの才能ありそう。」



「うん。そういう誰に対しても真っ直ぐなとこ…」



ゆうた先輩が私を見つめる。



そして…









「前から好きだなぁって思ってたよ」









あ、ヤバイ。



「えっと…」



顔からぷしゅーって音が出そうなくらい、私は顔を真っ赤に染め



バタンッ



「Aちゃんっ！？」



ショートしました。

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