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「つまり.....喰種には『Rc細胞』からなる『嚇子』で攻撃するのか......タイプが3つあり......ふんふん、この前のは羽嚇だったわけだ。」
目の下にクマをつくる。別に、本を一冊読破するのにそれほど時間はかからないが、熟読するとなれば話は別だ。ただでさえ内容の密度が濃いのである。本のページをめくるにつれて時間がたつ。今は深夜だ。
「舌の造りが違っていて、珈琲と人肉のみ食べる......ほうほう、なるほど。」
そして、夜が明けた。
「うー......ちょっとしか寝れてない......さてと、労働に向かいますか。」
重い体を起こして頭を覚醒させる。
今日も元気に労働だ。ああ、世知辛い。
朝食にパンを一枚食べ、歯を磨く。しかし、ジャムかチーズか、なんでもいいのでパンに乗せたいものである。味気がないと飽きてしまう。まあ、それ以前に食べ物が不味く感じる喰種に比べればマシか。そんなことを考えながら、私は家を出た。
いつもと変わらない風景。茶髪や黒髪が入り交じる人々の頭が並ぶ。
集団の声が聞こえる。いずれも他愛もない話をしている。
そうとは分かっているのだが、どうも人の視線に落ち着かない。
「ぅ、え、ぉ、えぇ、おえぇぇえ......!!」
トイレに籠って嘔吐する。気持ち悪い。
どうも、集団にいると吐き気がしてはままならない。
だからこうして、吐いているのだ。
固形物が消化されてドロドロになる。朝食のパンも吐き出された。
そうして全てを吐き出すと、口元をトイレットペーパーで拭った。
呼吸が安定する。心拍数が落ち着く。だが、脱力感だけが体に残り、暫くそのままでいた。
数十分後、その場から何事もなかったかのように去った。
これが私の毎日だ。
人間のものを食べた後、消化される前に吐かないといけないという喰種だが、喰種もこんな感じに苦しいのだろうか。
いいや、それよりももっと苦しいのだろう。喰種というのは、本当に酷だ。
世界が分かってやれないこと、それを嘆いたってどうにもならないのだ。
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清水。 - 当時の私は社会への憎しみとか、そういうのを持ち合わせていたのかもしれませんけど、もう分からないです。私は変わりました。ごめんなさい。どうしても主人公の言葉が紡げない。もう待ってる人はいないでしょうけど、本当に申し訳ないです。 (2020年7月13日 0時) (レス) id: 0eb0a2954a (このIDを非表示/違反報告)
清水。 - 皆さん更新してなくてすみません。作者です。パスワード忘れたのもあるんですけど、多分もう私にはこの作品の続きが書けないと思います。主人公の気持ちが分からなくなってしまいました。 (2020年7月13日 0時) (レス) id: 0eb0a2954a (このIDを非表示/違反報告)
(^∇^) - すっごい、面白いです!続き描いて、欲しいです!!楽しみにしています! (2019年11月22日 17時) (レス) id: 752347c070 (このIDを非表示/違反報告)
くろ(プロフ) - 私、こういう作品好きなのですが書くのやめてしまわれましたか? (2018年12月21日 4時) (レス) id: 50d32aa5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:静水。 | 作成日時:2018年9月15日 1時