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episode12 ページ12







完全に、油断していた




いつものように野球中継を見終え、成宮さんのことを考えていた頃


今日もいないと思っていた両親が帰宅




少しお酒の入っていた2人は、私の顔を見るなり期限を悪くしてしまったようだった




殴る、蹴るからはじまって


そんなの毎回だから、ただ黙って痛みに耐えた




「もういい…こんなやついらない」




いつも通りのセリフ



ただいつもと違ったのは、手に持っていたカッター




『いたッ!』




鋭い痛み



自分の体から血が流れるのを感じた時





私は家を飛び出した












行く宛てなんてなかった




ただ、あのまま家にいても自分の命が危ないんじゃないかという防衛本能




『……ハァ』





ただ真っ暗な道をとぼとぼと歩いた





このまま警察に保護されないかな…




なんて思いながらも、頭の片隅にあるのは数日前に助けてもらったあの人のこと






無意識にあの道に足を進めていたのもきっと、どこかでまた会えるんじゃないかって淡い期待





世の中そんなに甘くないのに…






狭い道に入った時、反対側から車が来るのがわかった





もういっそのこと轢かれたい




けど、そんなことしたら、運転手さんに迷惑かけちゃうからやめておこう





ゆっくりと、その車とすれ違う





なんだかその車には見覚えがあるような気もしたけど、足を止めなかった




止まったのは車の方だった





バタン




大きな音が後ろからしたかと思うと






「ッ…A!」






自分を呼ぶ声がした





忘れられない声がした






『な…るみや…さん』






ついさっきまで画面の向こうにいた人






成「どうしたのこんな時間に!どこ行こうとしてたの?!」



「なに…その傷」








早足で私に近づき、私の傷を見て顔を歪める







けど、そんな成宮さんの声は私には届かなかった









『……会えた…ッ』







会えた





ずっと、忘れられなかった貴方に





ただそれが嬉しくて









『やっと……成宮さんに会えたッ』







ぽろぽろと涙が零れる








成「うん…大丈夫」




「もう、大丈夫だよ」








優しい声






胸が苦しくなるほど温かい腕の中






ただ泣くだけの私を






成宮さんは優しく抱き締めてくれた

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玲海(プロフ) - 欅千広さん» どっちも思いつきですけどね。でも優しい話にはしたかったので、伝わったのなら良かったです。ありがとうございます。 (2020年2月26日 2時) (レス) id: c35e0428ec (このIDを非表示/違反報告)
欅千広 - いちごみるく・勿忘草など読ませて頂いて、どれも人の温かさなどが伝わるお話でした。毎日、楽しみにしてます。 (2020年2月25日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海姫 | 作成日時:2020年2月20日 0時

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