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episode9 ページ9







涙でぐちゃぐちゃの私の顔を、一也が拭ってくれる




『ごめッ…ありがとう』



御「ん、いいよ」





優しい手つきとか、ふっと笑った顔とか




私の知ってる一也のままで、そう思ったらまた少し、涙が出てきた






御「泣き虫だなぁ、おまえ」



『……何があったか…聞かないの』






家で倒れていたこと



翔也の顔を見て、聞きたいこといっぱいあるでしょ





御「まぁ、聞きてえこと、あるはあるけど」


「なんとなくは、翔也から聞いたよ」



『……そっか』



『翔也さ、一也のこと見て、どうだった?』






あれだけ大好きな御幸選手を目の前にして




あの子は、どんな顔をしたのだろう





御「あぁ…すっげぇ目をキラキラさせてた」




『ふふっ…そっか』


『日付、回っちゃった?』



御「うん、今2時頃」



『あの子ね、今日で5歳なの』


『誕生日プレゼントは、御幸選手のサインが欲しいって言われちゃった』




御「まじかよ、色紙ねぇからボールに書いてやろうかな」







どこか照れくさそうに笑う一也





嫌でも、あの頃寂しさから逃げなければ




ちゃんと向き合っていれば




こんなにも幸せだと思う日々があったのかと思ってしまう






『翔也には…嫌なものいっぱい見せちゃった』




小さい背中に、重たいものを背負わせすぎた





御「俺からしたら、おまえにも背負わせすぎたけどな」



『なにそれ…一也は何も悪くないじゃん』







別れたのだって、一也は悪くない






『…一也にとって、野球が一番大事だってこと…知ってたのにね』







そんな一也が大好きだったのに






逃げてしまったのは私







だけど、毎日のように画面の向こうに貴方はいた





ボールに喰らいつく姿





想いの丈を全て乗せるバッティング









いつだって変わらない







貴方の野球をしてる姿だけが












私を強くさせてくれてたんだよ

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ゆかり(プロフ) - 凄い感動しました!続き待ってます (2020年3月11日 12時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲海 | 作成日時:2020年2月24日 13時

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