キミノトナリ (ページ21)

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episode21 ページ21

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御「帰ろ…A」

一也の声が、私を優しく撫でてくれる指先が優しくて

一也の服をびしょ濡れにするほどに涙が溢れる

御「翔也も一緒に、帰ろうな」

『うん…ｯ……帰るｯ…一也のとこ帰るｯ』

外だというのに、一也にしがみついて泣き喚く私を、一也はただ黙って抱き締めてくれていた

今まで張り詰めていたものが

一気に溶かれていく

大好きな声と匂い

安心する温もり

込み上げてくる幸せを噛み締めていると

「へぇ～…こんなとこで堂々と不倫？」

「やっば」

それを一気にぶち壊す声が聞こえた

『ｯ！』

反射的に、一也から離れようとするも、それは叶わず、一層強く抱き締められた

『かず「大丈夫だから」

上から降ってくる声に、一也の服をきゅっと握る

「球界に名を馳せる名捕手が、こんなとこしていいと思ってんのかよ」

「これ撮ってばら撒かれたら、もう野球なんてできなくなんじゃねぇの？」

幸樹の言葉に、体が強ばる

嫌だ…

一也が野球ができなくなるなんて…

そんなの……

御「いいよ」

『「…は？」』

一也の返答に、思わず私と幸樹の声が重なる

『ちょ、一也？！』

『何言ってんの！せっかく叶った夢じゃん！』

ずっと野球をしていたいって

『自分の限界まで野球を楽しみたいって言ってたじゃん！』

そのために努力してたのを、私はずっと見てきた

なのに…！

御「んー…まぁ、プロ野球選手て夢だったけどよ」

『だったら！』

御「Aいねぇと意味ねぇし」