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episode20 ページ20









一也の家を出て数日、ほぼ閉じ込められる状態になっていた



翔也には手を出さないを条件に、ひたすら痛みに耐えた






翔「ママ…大丈夫?」





『うん、大丈夫だよ』








心配そうに揺れる大きな瞳





ズキリと、心が痛む







せめて、翔也だけでも実家に置いてくればよかったのかな…





そういえば、スマホを触る時間すらなくて、誰にも連絡してないな…







『ねぇ、翔也』



『御幸選手…今日も打った?』




翔「うん…いっぱい打ってた!盗塁も刺してた!」




『そっか……そっかぁ』









どうしようもないくらいの後悔とか、悲しみとか




絶望を感じた時






貴方が野球をやってるって事実だけが支えだった








『パパ、出かけてる間ちょっとねんねするからね』




『パパ帰ってきたら絶対ママのこと起こしてね?』




翔「うん…!」







小さな体に、一也のサインボールと球団マスコットのぬいぐるみを抱えた翔也





私の隣でひとり遊びをはじめたのを見届けて、目を閉じる
















ピーンポーン





『ん…だれ?』





2時間ほど寝ただろうか、来客を知らせる音で目が覚める





翔「ママ…誰か来た」



『うん…』





鍵を持ってないということは、旦那ではないだろう




だとしたら…誰だろうか







『……え』






玄関のインターフォンへと続くカメラの画面




サングラスにマスクとかいう、どう見ても怪しい人






だけど私は、その人を知っていた







つい数時間前まで、画面の向こうにいた人









『うそ…でしょ』







寝起きのぐしゃぐしゃの髪とか





酷い顔のすっぴんとか





殴られ続きでボロボロの体とか









外に出てもいい見た目じゃない





だけどその足は、一目散に玄関へ向かった








ガチャ







『かず…ッ』








扉を開け、その名前を呼ぶより早く






逞しい腕に抱き寄せられる









ぎゅうっと力強く抱き締められて






体のあちこちにできたキズに沁みるけど






その痛みすら心地好いと思ってしまう








『かず…ッ……や』





御「うん」





『助けて…ッ』




『もう…ッ……むり…』









御「うん…迎えきた」




「Aと翔也のこと…迎えに来たから」




「だから、もう、大丈夫だからな」

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ゆかり(プロフ) - 凄い感動しました!続き待ってます (2020年3月11日 12時) (レス) id: 9654438337 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲海 | 作成日時:2020年2月24日 13時

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