キミノトナリ (ページ14)

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episode14 ページ14

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「元気な男の子ですよ」

生まれたての小さな命を胸に抱く

妊娠がわかった時、それが旦那との子じゃないのは確信していた

だけど、そんな不安よりも

私のお腹に来てくれた我が子を守りたい一心だった

「名前、決めなきゃね」

『んーん…お母さん』

『もう、決まってるの』

決まってるんだよ

キミが生まれてくるずっと前から

『この子はね、プロ野球選手になるんだよ』

「え？そんなのわからないじゃない」

『なるよ…きっと』

その夢を語る日がいつかきっと来る

どこかで、そんな気がした

そしてそれは

「俺、プロ野球選手になる！」

数年後、現実になった

「御幸選手みたいなプロ野球選手になる！」

『うん…なれるよ、絶対』

そんなに甘い世界じゃないんだよって思ったけど

それは、自分で知っていけばいい

幾度となく挫折を味わって

それでも手元に残ったものを心の支えにして

いつか、あの人の面影を感じる背中に成長した時

夢の先の青空へ

夢舞台へと続く青空へ

翔び立てますように

『だから…翔也って名前なんだもん』

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･

懐かしい夢をみた

瞼をあげると、まだ起きるには早い時間で

ちらりと横を見ると、同じ寝顔がみえる

私の描いてた未来の話が、現実になった瞬間だった

ただ一つ違うのは、あの時間に貴方がいなかったこと

寝る前までは翔也を撫でていた一也の腕は

翔也ごと、私を抱き締めている

人はこれを不倫と呼ぶのか…

『違う…違うよね、一也』

だって心はずっと

もう何年も前から

私の心は貴方のものだもん

私を取り巻く環境が変わったって

この身が誰かのものになったって

『……あんたしか…想ってないんだよ』