episode12 ページ12
『……吐きそう』
先週いきなり決まった本日の予定
迎えに行くとのことで、家近くの公園を教え、少し早いがそこで御幸を待つ
家を出る前に何度も確認した服とメイク
飛び出しそうな心臓を抑え、御幸を待つ
御「わりー、待った？」
結構有名なブランドの車が留まったかと思うと、運転席の窓が開き、御幸が顔を出した
『……かっこいい』
御「へ？」
『あ、…ご、ごめん』
御「はっはっは」
「おまえもかわいいじゃん」
『は……はぁぁぁぁあ？！』
落ち着くことを知らない心臓が音を立てて暴れる
御「まぁ乗れって」
そう言われて、中から開けられたのは助手席
『……』
御「早く、大丈夫だって、俺結構運転上手いから」
軽く腕を引かれ、助手席に座らせられる
若干震える手でシートベルトを締めると、車を発進させた御幸
『…どこ行くの？』
御「とりあえず…海、行くか」
何で…海？
その疑問は口に出さず、黙って、移ろう景色を見つめる
少し開けた窓から、浜風の匂いがしはじめた
『海とか…久々かも』
御「うん、俺も」
2人、車を降りて浜辺を歩く
全身を駆け巡る、暖かみを帯びた春の浜風が心地良い
少し、前を歩く御幸の背中に、控えめに手を伸ばすけど……届かない
『遠いな……』
自分が思ってたより、遠い背中
御「ねぇ、A…はさ、何で俺のこと好きになった？」
『ｯ！』
突然振り向いた御幸に、伸ばしていた手を引く
『なんでって…』
御「一目惚れって言ってたよな？」
『……覚えてんだ』
御「あんな告られ方と別れ方、忘れらんねぇだろ」
御幸を好きになった理由
それは、あの卒業式で言った通り
『野球に打ち込む姿に惹かれた』
『自分とは違う……夢中になれるものがあって』
『それに、自分の全部をかける姿に…好きになってた』
てか、今更言わせんなよ
恥ずかしくてたまらない
御「そっか、ありがと」
そう言って笑った御幸
その、「ありがと」の意味は何
どんな想いの、「ありがと」なの？
いろんな感情が交じる
いろんな想いが、頭を駆け巡るけど
その疑問を口に出来ないまま
体全部、御幸の匂いに包まれた
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miyu - とっても面白かったです！切ないけど最後はハッピーエンドでよかった…！私こういう話大好きなので、とっても楽しかったです！この作品つくってくれてありがとうございました！！ (2020年4月15日 16時) (
レス) id: 26b43c37d7 (このIDを非表示/違反報告)
玲海(プロフ) - ナナさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。頑張ろうって思えました！ (2020年3月4日 0時) (レス) id: c35e0428ec (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - これ、なんで見てる人が少ないか不思議なくらいいい作品だと思います！作ってくれてありがとうございます！ (2020年3月3日 10時) (レス) id: 6a8e4241a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玲海 | 作成日時：2020年2月5日 22時
