イケメン転校生は超ドSでした【そらる】

ろく ページ7

お昼休み。


勿論お弁当を一緒に食べる友達もいない私は、いつも通り屋上に行った。


…否、行こうとした。


「何一人で行こうとしてんの」
『…一ノ瀬くん』

意地悪そうな顔をした一ノ瀬くんが、購買部のパン片手にニヤついている。

「弁当も荷物だろうが。持て」

『うっ…わ、だから投げないでってば・・』

相変わらず投げてよこしてくる一ノ瀬くん。

持つ手を入れ替えている私の事なんてどこ吹く風、彼は颯爽と階段を昇って行ってしまう。

『え、まって！！』

「……お前ホントにトロい。早く行くぞ」

そんな軽々しく言わないでほしい。だって…

「ほら、あの子！！」

「うそ待って…めっちゃイケメンじゃん」

「横の女子誰？彼女とか？」

「え、早すぎじゃね？」

＿＿＿＿イケメン転校生がやってきたとの噂は瞬く間に学校中に広まっており、その美しい顔を一目見ようと沢山の人が後を追ってきているのだ。

そして究極の地味女子・私は言わずもがな、すごくすごくイターい視線を背中にひしひしと感じる羽目に。

『い、一ノ瀬くんは男子と食べないの？』

「別に友達とかいらねぇし。黙ってついて来い」

『は、はいぃ…』

何とか離れようとするも、あっけなく玉砕。

うなだれる様に肩を落とすと、一ノ瀬くんの気配がニヤリとした気がした。

『…何』

「なーんにも」

＿＿＿＿私はそっぽを向いてしまい、彼が呟いた言葉を知ることはなかった。

・

「……お前と食べたいんだよ」

なな→←ご

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す