【歌い手】年上彼女にスポットライトを。【大型コラボ】 (ページ4)

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【志麻】あーる20のお約束/星結ページ4

＊side Shima

「志麻くん、お風呂上がったよー」
「…うん」
「え、どうしたの、」
「いや、なんも…」

こういう時、センラならどうするんだろう。
こういう時、Aはどうして欲しいんだろう。
分からない。
有りの侭をぶつければAが壊れてしまいそうな気がするくらいの、子供の癇癪めいた愛情は、Aを押し倒すくらいには充分すぎた。

「…ちょ、志麻くん、痛い」
「Aは、センラくんが好きなん？」
「…何言って、」
「メッセージ見た。俺に言えんことって何？俺が鈍いって何？なんでそれをセンラくんに言うん？」
「志麻くん、手首、痛いって、」
「…ごめん」

つい強く握りしめてしまったAの細い手首には、俺の付けた赤い痕が残っていた。
急に襲いくる罪悪感は胸を侵すけれども、劣等感までは喰らえなかったようだ。

「…今度、言おうと思ってたのよ」
「？」
「私もそろそろ三十路だから、」
「…うん」
「結婚考えてくれてもいいんじゃない？」
「え"っ…」
「何よ、嫌なら別にいいけど」
「いや、そうやなくて、その、」

途端に先程まで描いていた未来図がかき消されて、何とも言えないものが内から込み上げてきた。
予想すらしていなかった言葉に、どう反応すれば正解かが分からなくなった。

「A、俺のこと好きやないと思っとった」
「志麻くん思い込みするもんねぇ」
「…センラくんみたいなんが好きやと思っとった」
「あー、あれはタイプじゃない」

あはは、なんて笑いながら言った彼女と、ぱちぱちと瞬きしか出来ない俺の目が合って、どちらからともなく逸らした。

「あ、そういえばお風呂空いたよ」
「あー、うん」
「え？入らないの？」
「後でにしていい？」
「………今日だけ特別、ね」

やれやれといった様に、子供の強請る玩具を与えるように、首に手が回ればゴーサイン。
軽いAなんて小柄な俺でも持ち上げられる。

「明日仕事だから。腰だめにしないでね」
「…努力する」

(…まぁ、別にいいけど)

いっつもAが終始余裕。
俺はそれに振り回されつつも、いつの間にか見えない内にAを暴いているのかもしれない。
そう実感が湧くくらいには今宵は面白くなりそうだ。

普段は余裕0でも、夜になればR20のお約束。
それが年下彼氏のお約束。