９ ページ9
「ブローノ・ブチャラティだ」
ふわり、優しく人当たりのいい響きで名乗った彼はジョバァーナさんが連れてきてくれた知人だった。普段彼を見上げるときよりもいくらか高い位置にある顔を見つめて握手をする。ともすれば女性かと思うくらい綺麗に切りそろえられたサラサラの髪にバシバシと音がしそうなくらい長いまつげ。でも握った手はすごくごつごつと硬くて、職業柄かななんて一人で思った。彼はどうやらジョバァーナさんに負けないくらい人の目をしっかり見て話すタイプのようで、そんな人と質疑応答を繰り返すのは少し緊張した。
「Aさん、そんなに硬くならなくたって大丈夫ですよ。こうみえて良い人なので」
「ほぅ…？ジョルノにはこの俺がどう見えるというんだ？」
「あ、すみません…あまり人の目をじっくり見て話す習慣がないもので緊張してしまって…どうぞ、続けてください」
質問内容はいたってシンプルだ。氏名、住所、年齢、職業…プロフィール帳でも作るのかなというくらいざっくりとした自分の年表。一通り終えると目の前にあった紅茶を飲むブチャラティさんが少し、思案しているように見えて思わず何か悪いことを言われる前にと口を開く
「あの、ジョバァーナさん実はお願いが一つありまして…」
「ええ、どうしました？あなたからの要望なんて珍しいですね」
「これ、私の実家の番号なのですが電話をかけることは可能かなと…」
「電話番号ですか…一応今かけてみますがこの番号は少し配列の雰囲気が違うような…」
「まぁ国によって違うかもしれないじゃあないか、早速かけてみよう」
プツプツと短いプッシュ音が途切れた。数字を入力し終えたようだ。ただ受話器を握るジョバァーナさんの表情だけで何が起こったのか分かってしまい頭を抱えたくなった。どうでした？とぼけた声で母が出ませんでしたか？なんて軽口を叩く雰囲気でもなく、そっと手渡された電話を受け取ることしか出来なかった
「Aさん、落ち着いて聞いてください。一応あなたも確認をしたほうがいいかと思いますが…一般的な単語は聞き取れますよね？」
「はい…」
受け取った受話器からは番号が間違っているとバッサリと切り捨てるアナウンスが聞こえてきた。せめて現在使われておりませんくらい言ってくれたっていいじゃあないか。実家の番号は私が生まれたときからずっと同じままだ。その番号が使われていないということはAAが存在していない証明の一つになってしまう。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明音(プロフ) - この作品からジョルノに落ちてしまいました。夢主との発展途上な関係性やジョルノの距離を詰めてくる感じが好きでたまらないです。続きをどうしても待ち望んでしまいます…。 (2022年6月4日 3時) (
レス) id: c2eb8002db (このIDを非表示/違反報告)
ぴーぬ(プロフ) - Curomaさん» 初めまして、好きと言っていただけて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2021年9月30日 17時) (レス) id: 7530be3057 (このIDを非表示/違反報告)
Curoma(プロフ) - 話の展開とか、めちゃくちゃ大好きです‼頑張ってくださいッ！！ (2021年9月30日 6時) (レス) id: da0389b6c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーぬ | 作成日時：2021年8月24日 22時
