４６ ページ45
少しだけ沸き上がる悪戯心を抑えきれない程度には外に出ることが出来ないストレスを抱えていたらしい私は思うままに口を開いてしまった
「ジョバァーナさん…あまりそういうことを言われ続けると本気にしてしまいますよ。いくらこちらの国では普通のことだとしても、私は生まれも育ちも日本ですから」
私だって、そんな恥ずかしいあり得ないほど勘違いはしたくはないけれど最近のジョバァーナさんは特にこういったからかいをしてくるのだ。もう勘弁願いたい。きっと彼は「冗談ですよ」なんて笑いながら私の頭を撫でるのだろう。自分の方が年上だと言うのにいつもそうして子供扱いをされるからもう慣れてしまった。
「…っ」
撫でられるのを身構えていたのに、その想像を越える行為をしてきた彼に悲鳴を上げなかった自分を褒め称えたい。呼吸をすることさえも憚られるような距離に彼の彫刻のように綺麗な顔がある。この事実をどのように処理をすればこのバカみたいに騒ぎ立てる心臓を落ち着かせることが出来るのだろうか。彼が小さく私の名前を呼んだ気もするけれど、今の私にはそれに答える余裕が全くない。両頬を優しく包まれて親指で撫でられれば頬が熱い紅茶を注ぐ寸前のポットのように熱くなるのがわかる。
「貴女がやっと気づいてくれて嬉しいです。僕は本気でAを口説いているのですから。僕はこうやって貴女に思いを伝えた後に一度だって冗談だなんて言っていないでしょう？」
どのくらいの間視線がはずせなかっただろうか。このまま彼を見つめていたらなにやら良くない方向に話が進みそうだとハッとして防衛本能のなすままに、やっとのことで彼から視線をそらすことに成功したと言うのにそんなのお構いなしに彼はまたその綺麗な顔で私の視界を遮る。こちらは近すぎる距離に本当は呼吸さえもしたくないと言うのに目の前の歩く芸術品は何も気にならないらしい。ずるい。
「今は返事を要求しませんし、この涙の理由は聞きません。でもどうかこちらを見て名前を呼んでください。そうすれば今日はもう、止めます。貴女が望むジョルノ・ジョバァーナに戻ります」
私の望むジョルノ・ジョバァーナ？普段、穏やかに微笑みながら私の動向を見守ってくれてたまには叱ってくれる彼のことだろうか。私は彼になにを望んでいるのかなんて、わからない。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明音(プロフ) - この作品からジョルノに落ちてしまいました。夢主との発展途上な関係性やジョルノの距離を詰めてくる感じが好きでたまらないです。続きをどうしても待ち望んでしまいます…。 (2022年6月4日 3時) (
レス) id: c2eb8002db (このIDを非表示/違反報告)
ぴーぬ(プロフ) - Curomaさん» 初めまして、好きと言っていただけて嬉しいです。コメントありがとうございます！ (2021年9月30日 17時) (レス) id: 7530be3057 (このIDを非表示/違反報告)
Curoma(プロフ) - 話の展開とか、めちゃくちゃ大好きです‼頑張ってくださいッ！！ (2021年9月30日 6時) (レス) id: da0389b6c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴーぬ | 作成日時：2021年8月24日 22時
