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「本当に近くなんだな？」
「はい、もう目と鼻の先ですからできれば目の前に停めるのは止めて頂きたく…すみませんお手数おかけしました。ありがとうございます。」
会社内で噂になってしまう…それは避けたくて、近くのロータリーに停めてもらった。お礼を伝えて車を降りようとすれば、待て、とたった二文字のシンプルな言葉で動きを止められた
「何時だ」
「え？」
「何時に終わる」
「え、あ…」
「はぁ…仕事が何時に終わるか聞いてるんだぜ」
察しが悪くて申し訳なかった。慌てて時間を伝えると仗助が来るとだけ伝えて空条さんはいなくなった。ブロロロロというなんともお高そうな音を立てていなくなる車をそっと見送ってお辞儀をする。さて、仕事をしよう。
*
お疲れさまでした〜と定時で会社を出れば今朝空条さんと別れた場所に見慣れた学ランが見えた。
「おーい、Aさーん」
まるで飼い主を見つけた大型犬かのように走り寄る仗助くんに止まってほしいとジェスチャーで伝えると意図が伝わったのか一先ず止まってくれた。良かった。年下の若い男の子をたぶらかすという分不相応な罪に問われるところだった。危ない危ない
「本当は朝も一緒に行きたかったんスけど登校時間とかぶっちゃったんで帰りだけですみませんス」
「そうだったんだ。仗助くん、ごめんねありがとう。でもそんなに警戒しなくたって…」
「だめッス。脅すつもりはないんスけど、本当にスタンドは危ないんで舐めちゃあいけないッスよAさん」
そうは言ったって、いるのかどうかもいまいちわからないものに警戒もなにもないわけで。現に今、存在を感じるような感じないような…右下を見てみると仗助くんが笑いながら「Aさん、今は左側にいるぜ？」なんて言ってくるから恥ずかしい。
朝は車で走った道をのんびり二人で歩く。同僚に見られたとしても仗助くんならば親戚の甥っ子とでもいえば十分通じるのでこちらも気兼ねなく歩くことが出来る。なんて、私なんかと彼らが噂になるなんてありえないのだけれど
「承太郎さん、どうっスか？」
「んー？どうと言われても…優しい人だよね」
*
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作者名：ぴーぬ | 作成日時：2021年8月22日 22時
