(番外編)強さが欲しい (ページ11)

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結局ドラコは、僕に任せておけと言って、真緒の研究室を去って行った。

真緒は言葉通り、完全にドラコに任せた状態で、何の準備もせずに当日を迎えた。

何しろ、彼女のスリーサイズを恐らく本人以上に正確に分かっているのだ、あのお坊っちゃんは。

10月31日。

17時から始まるハロウィンパーティーに向けて、お昼過ぎからちらほらと生徒たちは各々の自室へと準備に消えていく。

ドラコに呼び出された真緒も例外ではなかった。

彼の自室に訪れた真緒は、掛けられた黒とグレーとシルバーを基調としたドレスに、あんぐりと口を開けた。

隣には同じタイプのデザインのマント付きタキシード。

ドラコ「テーマはヴァンパイアだ。ダンスといえば当然、ドレスだ」

「えぇ…そうね、ダンスといえばドレスだわ」

学生にしては豪華すぎやしないかとビクビクしながら真緒は頷いた。

ドラコ「ヴァンパイアの牙は呪文でどうにでもなる。あとはよりヴァンパイアらしさを出す訳だが…やはり真っ赤なルージュだな、君も、僕もだ」

「あら、ドラコもメイクする？」

ドラコ「より青白く見えそうだからな」

ドラコは真剣に頷いた。

当初馬鹿にしていたと思えない本気っぷりだ。

「貴方からやってあげるわ」

ドラコ「あぁ」

真緒はタキシードに着替えたドラコに呪文をかけて八重歯を発達させる。
そっと紅のルージュを塗って、前髪を横に流してセットした。

これは…格好良すぎるーーーー

元々の色素の薄さも相まって、よりヴァンパイア感が出ている。

そして何より、牙の生えた口元の色気に真緒はぞくりとした。

ドラコ「ふーん…」

ドラコは鏡に映る自身の姿をちらりと確認したあと、鏡越しの真緒の表情をじっくりと確認していた。

ドラコ「君、本当に分かりやすいんだな」

「え？何がーーっん…ぅ…」

ドラコに抱き竦められて、深いキスが降りかかる。

舌が絡まり、牙が当たる度にぞくりとする。

キスが終わると、ドラコが射るような瞳で真緒に微笑みかけた。
唇から牙が覗く。

ドラコ「時間は余裕だなーーヴァンパイアに食べられて君は同族になる、良いね？」

顔も身体も熱い。

このドラコは狡い。

真緒はこくりと頷き、そのままベッドに組み敷かれた。

散々弄ばれた真緒はふくれっつらでドラコを部屋から追い出した。

「準備出来るまで談話室でステイ！」

子どもっぽく怒る真緒にドラコはにやけながら片手を上げて返事をした。