▽ ページ41
Aside
そこは、深い海だった。
私の身体は奥へ、奥へとゆっくり、でも確実に
降りていく。
水面から、どれくらい遠いのかさえも
わからないくらい。
上に上がらなきゃいけない。
そんなことはわかってるのに、上にいけない。
ううん、行こうと思えない。
隣でルーラが囁くんだ。
「これは正義だ」
って。
そうだ、私は正義。
神々の敵討ちをしようと、
悪い魔導士に正義の鉄槌をくらわそうとしてるだけ。
“そのとおり。君は何も間違っていない”
ルーラが優しく微笑んだ。
あぁ…なんだか頭が回らなくなってきた。
ほわほわして、思考が止まる。
でも、それでいいかもしれない。
だって私は、正しいことしかしてないんだから。
“______A！”
水面の方から、私とルーラ以外の声が
聞こえた。
これ…誰だっけ？
“ナポレオンみたいな英雄になるんでしょ!?
そんなところで立ち止まってらんないよ！”
ナポレオン…？
…そうだ、私はナポレオン様みたいに___
“必要ないよ”
ルーラの声が、甘い毒のように魅惑的に
囁く。
“君はいずれ、ナポレオンでさえ超える存在に
なるのだから”
ナポレオンでさえ超える存在？
思考が再び濁る。
て言うか、あの声、誰のものだっけ。
聞いたことある気がする。
確か____
“思い出さなくていい”
ルーラの声が再び遮った。
“単なる脇役でしかない奴だ。
覚える必要はない”
そう…なの？
なら、別にいいかな__
“A！俺のことわかるだろ!?
____ひなた!
葵ひなた、だよ！”
______ひなた。
その名前を聞いた途端、鈍っていた思考が
クリアになる。
そうだ、なんで私は友達の名前を忘れてたんだろうか。
ぐんっ、と身体が水面に近づいていく。
水面から出た途端、全ての意識が
戻った。
「…ひなた」
「！」
「そんなこと、あるわけ…！」
意識を取り戻して一番最初に見たのは、
ひなたの喉元に剣筋を向けるルーラだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 220人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あるみかん(プロフ) - かえさん» ありがとうございます！更新頑張ります！ (2017年12月10日 14時) (
レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
かえ - めちゃくちゃ面白いです！！！更新楽しみに待っています！これからも頑張ってください！！！！ (2017年12月10日 10時) (レス) id: ad74bb0de7 (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - 雪音さん» ありがとうございます！何回も読み返してくれているですね！うわ嬉しい！他の作品の応援も、本当にありがとうございます！ (2017年11月30日 21時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 凄く面白くて、何度も読み返してます！(笑)これからも頑張ってください！あるみかんさんの他の作品も、応援してます！ (2017年11月30日 18時) (レス) id: 15ca18a995 (このIDを非表示/違反報告)
あるみかん(プロフ) - たまたまさん» ありがとうございます！こちらでもコメントして下さり嬉しいです！更新頑張ります！ (2017年11月23日 23時) (レス) id: 3df0130dff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あるみかん | 作成日時：2017年8月14日 21時
