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009.微笑む ページ10

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「かかかっかんっ…!!」

「…落ち着け」




すっかり油断して扉を開けるとそこに立っていたのは監督で、私はすごい勢いで5歩くらいずだだだっと後ずさりした。

そんな私の背中をべしっと押して、扉の方へ連れてったのは幸子。




「監督、Aでいいですか?」

「あぁ」

「……A、言いなよ。またとないチャンスじゃん」




幸子が小声で私に言う。私はきゅっと唇をつぐんで幸子にこくりと頷くと、サンダルを引っ掛けて外に出た。

「疲れてるところ、悪いな」と私を労ってくれる監督に、「監督のためなら過労死も厭いません!」と笑えば「俺が困るからやめろ」と真っ向から否定された。

先を急ぐ監督の背中に小走りで追いつく。




「お前ももう、三年生か」

「今年で18歳ですよ…もう大人の女ですよ…」

「そうだな」

「なんつー棒読みな……」




監督と2人きりの空間にドキドキしながら部室まで行けば「去年の夏合宿の時のスコアブックの場所なんだが…」と口ごもりながら監督が棚を探り出す。

私が「あぁ、ちょうどその時のスコアブック、今一年マネが参考に見てたので……多分新しいところに混じって……」と棚の一番下をしゃがんで探る。




「あ、ありました…よ……っ」

「あぁ、ありがとう」

「い、いえ……」




使い古したスコアブックを掲げて振り返れば、かんとくが少し薄暗い室内で、なかなかの至近距離で私を見つめて立っていた。

心臓が飛び出るかと思った。

監督から香るコーヒーの香りが、ほんのり鼻をくすぐった。



そんな私の心境は御構い無しに、監督はそれを受け取ると「やっぱり藤原のスコアは綺麗だな」と捲りながら小さく笑う。




「幸子も頑張ってますよ!まだまだですけど!」

「お前はなんの立場で偉そうに言ってる」

「私も頑張ってるんですよー……一番下手ですけど」




ペラペラめくって私が書いたスコアを開けば、監督はちらりとそれを覗いて小さく笑った。

まさか微笑まれると思っておらず、胸がきゅっとなる。




「…高1の時よりは、上達してる」

「ほんとですかっ!」

「あぁ。まだまだだけどな」




「頑張ってきたのは知ってる」と優しい言葉をかけてくれた監督に、私はぎゅっとスコアブックを握った。

既にスコアブックに視線を戻してる監督に「か、監督」と声をうわずらせながら声をかけた。



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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
- 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年5月19日 21時

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