007.励ます ページ8
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「お疲れ様でーす」
「うおっ……さんきゅ」
合宿1日目の練習終わり。
お風呂に入ってから寮の中を歩いていると、1人で食堂でビデオを見ている後ろ姿を発見して、後ろから自分用に買ってたポカリを顔に押し付けた。
振り返った御幸は、躊躇なくそれを受け取ると小さく笑った。
「早く寝なよ?明日も早いんだから、キャプテン」
「そーだな…」
「…聞いてんの?」
「……ん」
適当な返事をする御幸に苦笑いで彼を睨んでいると、自分の隣の椅子を引いてぽんぽんと叩いた。
髪をタオルで拭きながらそこに座れば、ぼーっと2人でビデオを見だした。
「もうラストだってよ」
「早いねぇ」
「ほんとあっという間だよな」
「もう3年生かぁ…私の思ってた3年生はこんなんじゃなかったなぁ」
「……確かに」
「どこ見て頷いてんだよ」
私のTシャツの胸元を見ながら深く頷いた御幸に、腕で胸元を押さえながらバシッと頭を叩けば「悪い悪い」と軽く謝られた。
「中3で恋に落ちた監督と、高3になれば少しは距離が縮まるかなって思ってたけど、
今でもつまさきだちしたって全然足りない」
「最初は、何言ってんだこいつって思ってたけど、
3年間想い続けたあたりはまじ尊敬するわ」
「褒められてる感じがしない」
御幸はケタケタ笑いながらポカリを飲むと、「俺の犠牲はちゃんと活かせよ」とぽんぽん私の頭を撫でる。
「…犠牲って何?」
「文化祭。執事とかまじないわ」
「執事とか似合わねー」
「お前に言われたくねーわ。ヒラヒラのメイド服とかクソにあわねー」
軽口叩き合いながら2人で小さく吹き出すと、「監督もう誘った?」と聞かれて小さく首を横に振る。
「え?誘ってねーの?」
「……んー」
「……びびってんなよな〜!当たって砕けたら俺が笑ってやるからさ〜」
はっはっはと笑う彼に、殺意しか覚えない。
「今に見てろメガネ!!文化祭は監督とお化け屋敷で急接近♡するんだから!!」と立ち上がって言い放てば「やれるもんなら♡」と頬杖ついて笑われた。
「腹立つなぁ!なんでそう腹立つことしか言えないの!?」
「その勢いのまま行けって、な?」
「…………なに、励ましてんの、それ」
うじうじ悩んでた私を怒らせることで背中を押そうとしたのか、不器用どころの騒ぎじゃない彼に苦笑いすれば「おやすみなさーい」とひらひら手を振って食堂を後にした。
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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