006.懸ける ページ7
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「ラストかぁー」
「感慨深いねー」
「これで終わると思うとすごい嬉しい」
「とか言って、毎回合宿終わりは幸子泣きそうになってんじゃん」
「A、殴るよ?」
「はいごめんなさい」
合宿恒例のおむすび作りをマネ全員でやりながら、3年3人は感慨深く話し合う。
選手にとって気力を搾り取られるこの合宿は、マネの体力も容赦なく奪っていくわけで、一番疲れる行事だと言っても過言じゃない。
毎年二度と行きたくないと思うけど、結局頑張っちゃうこの矛盾はなんなんだろう。
苦笑いしながらできたおむすびをぽんっとおけば、春乃ちゃんが泣きそうな顔で私たちを見ていた。
「え?」
「は、春乃!?」
「なに泣きそうになってんの!?」
「先輩たちと…合宿するのも、これが最後だと思うと…私ぃぃ…」
「…春乃先輩…」
「泣かないでください!」
早々に泣いている春乃ちゃんを見ながら泣きそうになってる1年マネちゃんズを見て私たち3人は顔を見合わせて吹き出した。
「春乃ぉー涙は合宿終わるまで残しときな?」
「お望みなら来年だってくるからさ〜応援!」
「Aは卒業できるかわかんないよ春乃」
「おい」
「A先輩が監督の部屋に侵入しようとするイベントも見れなくなるかと思うと、わたし寂しくて…」
「おい」
しくしく泣く春乃ちゃんに苦笑いしながらぽんぽんと肩をなでれば「今年もやるんですよね!!」とキリッとした顔で見られた。
「え、何、期待されてんの?」
「もうここまで来たら3年連続みんなで怒られるのも悪くないね」
「ちょおお!ちょっと待って!」
毎年怒られ続けてきたのに何故かノリ気のみんなを急いで止めて、「あの…ですね…」と熱くなる頬を隠すように少し下を向きながら言う。
「え、なに?やんないの?」
「こ、今年はこの合宿中に、監督に文化祭一緒に回りましょうって言おうと思ってるの」
「…」
「だから、悪い印象つけないためにも夜這いは自粛します……」
言った私に、5人は同時にがしっと私の肩を掴むと親のような目で私を見つめる。
「がんばんな、A」
「そろそろ報われないと、見てるこっちが辛いからね」
「A先輩!大丈夫です!自信を持って!」
「押して押して押し倒す勢いでいきましょう!」
「先輩のルックスがあればころっと行きます!監督も男です!」
みんなの微妙な励ましの言葉に「ありがと」と笑うと、またおむすびを握り始めた。
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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