019.見守る ページ20
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麻生
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「は?」
「だーから!後夜祭誘ったらどうやっつっとんのや!」
「…あ?」
暇を持て余した俺とゾノはうちわで自分の顔を仰ぎながら教室の隅でたそがれている。
教室の窓から、亮介さんとぎゃーぎゃー言いながら歩いてる杉本を眺めてた俺にゾノは「杉本を後夜祭誘ったらええんとちゃうか」と間抜けな顔で言い出した。
「何言ってんだお前」
「杉本のこと好きなんやろ?」
「……うん」
「素直すぎやろ!」
ゾノのドストレートな言葉に口をきっと結んでこくりと頷けば、ゾノは大爆笑。
ぱっと教室中の目線を集めてしまって、俺はうちわで坊主頭を叩く。
「ッルッセェお前!!!」
「杉本ー!!!」
「やめろって!」
「あ、ゾノ〜」
窓の外に向かって叫ぶゾノの頭をペシペシ叩くけど、聞く耳も持たず、杉本はこちらの気も知らずに呑気に「あ、麻生もいる〜」と亮介さんの隣で手を振ってくる。
軽く手を振り返す俺を半笑いで見ていたゾノはまた外に向かって「亮介さん!いつまで杉本と回るんですか!?」と身を乗り出した。
「…さぁ。後夜祭までには帰ろうかと思ってるけど」
「ほれキタで麻生!!!」
「何がキタんだよ」
「杉本!麻生が後夜祭一緒に居たいらしいから!終わったら教室こいよ!な!」
「勝手に決めんなバカ!」
今日1の力を込めて頭を叩く。
おずおずと杉本の方を見れば、「えー亮介さん帰っちゃうんですかー」と不満げに口を尖らせて居たけど、俺の目線に気がついて大きく手で丸を作った。
ああ、かわいい。
「よかったなー!麻生!」
「な!やるときゃやるぜ!な!」
「関いつの間に来たんやお前」
「ゾノ……言っとくけど俺は」
椅子に座りなおして、頭をかきながら「監督好きー!きゃーっ!とか言ってるあいつが好きなんだよ」と口を尖らせた。
「だから別に、付き合いたいとかそういうの、思ってねーから」
「……」
「遠いとこから、あいつがバカしてんの見守ってるくらいが丁度いい」
ベンチ入りしてなかった俺なんかにもニコニコ天真爛漫に接してくれんのが可愛くて、
監督目的にしても毎日一生懸命マネの仕事してくれてんのがいじらしくて。
初めて会った時から監督に一直線だったあいつを好きになったんだし、杉本と監督がくっつく確率と同じくらい、俺の方も確率ねーのくらい、わかってるって。
あいつにとって、監督の次が俺だとも思えない。
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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