018.落ち着く ページ19
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「監督を好きでいた二年間だってさ、夢中になれることがなかった時のAよりずっと、楽しそうでキラキラしてたって俺は思うよ」
いつも以上に優しいノリの言葉にぱっと顔をあげれば、照れ臭そうにやり辛そうに目を泳がせた。
「そうかなぁ」と笑って見せれば「Aのペースでいいんだよ」と唐揚げを頬張る。
「俺たちだってずっと野球野球で、恋愛経験なんて他の奴らに比べたら無いに等しいんだし、一緒じゃん」
「…確かに」
「これから経験積んできゃいいんだよ」
「大学だってその先だってあるんだから」と呑気に笑ってくれるノリの笑顔にふんわり心が軽くなる。
「よし!てことは今は監督に首ったけでいいってことだね!」
「…Aがいいならいいんじゃないの」
「ちょっと!途端に適当になった!」
「ごめんごめん」
「杉本」
ノリの肩をバシバシ叩いていると、「こんなとこにいたの」と呆れたような顔で亮介さんがやってきていた。
私服で来た亮介さんは、やっぱり大学生なだけあってかっこよくて、大人っぽい。
身長は伸びてないけど。
「お前今ど失礼なこと思ったね」
「亮介さんエスパー!?」
「お前の考えてることなんて手に取るようにわかるから」
クスクス笑ってる亮介さんに「そんなわかりやすいですか私…」と苦笑いしてると、ノリが亮介さんに「それじゃ、Aを宜しくお願いします」と私の頭を掴んで2人で頭を下げた。
「ノリはどうするの?」
「俺は戻るよ。シフトあるし」
「ありがとね、ノリ」
ノリは「おー」と私に笑いかけると「降谷ーごちそうさまー」と唐揚げのカップを捨てて出て行った。
椅子に座ったままの私を見て、亮介さんはぐいっと手を引いて立ち上がらせると「ほら、行くよ」といつも通りのポーカーフェイス。
「…杉本お前身長伸びた?」
「亮介さんが縮んだんじゃないですか?」
「殺すよ」
大好きな幼馴染と、
大好きな先輩と、
文化祭を回れる幸せと、
大好きな先輩からの愛のチョップの痛みをひしひしと感じつつ、また校内の人混みの中を歩き始めた。
「どこ行きます?」
「お化け屋敷3つあるらしいから一つ一つ回っていこうか」
「なんですかその亮介さんしか得をしないコース!!!」
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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