017.キラキラする ページ18
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川上
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俺の幼馴染は、
小さい時からおバカで天真爛漫で、
いつも一歩引いてしまいがちな俺を能天気にぐいぐい引っ張ってくれるような、そんな子。
でも、Aにも人並みに悩みはあって、自分が熱中できることがないってことに、どこか劣等感を感じてるみたいだった。
部活もそこそこ頑張ってたけど試合には出られないし、勉強もそこそこ頑張ってたけど大きな目標があるわけでもなかったし、恋愛も長続きしなかった。
そんなAが初めて一生懸命になったのが、
監督で、野球で、僕たち部員を支えること。
___……かっこいい
__ノリ!私も青道行く!!
今でもはっきり覚えてるくらいには、見たこともないくらい楽しそうに言ってたこの言葉。
「うまい……」
「レンジでチンの代物とは思えませんねぇうんうん」
唐揚げを頬張りながら楽しそうに笑うAの、頬についてたソースを紙ナプキンでぬぐってやれば、「やだノリってば紳士〜」とまた戯けた。
さっき吉川が言ってたけど、ほんとにAが楽しそうでよかった。
「A、ごめんね」
「え?」
「……監督じゃなくて、俺でさ」
「…」
苦笑いで言うと、Aはしばらくきょとんと俺を見つめて、「何言ってんの?」とケタケタ笑う。
「ノリがいなかったら私今ぼっちだよ?
それに、監督にフラれたのは自分の責任だし」
「…」
「…うん、しょうがないの。今回は」
「監督」と言う単語を出した途端に遣る瀬無さそうに笑うAに「そうだな」と俺も笑うと、Aは途端に泣きそうな顔になって「ノリ」と小さく目線を落とした。
「……私が監督を好きだった二年間は、無駄だったのかな」
「…」
「……もっと普通に、恋愛して付き合ってってやってればよかったかな」
「…」
「いきなりどうしたの」と言えば「センチメンタル杉本」とAはごつんと机におでこを突っ伏す。
ぽんっと軽く髪を撫でると、少しだけ顔を上げる。
「俺は、Aとこうして高校でも三年間、一緒に野球ができてんの、嬉しいよ。だから青道に来たことは無駄なんかじゃない」
「……」
「監督を好きでいた二年間だってさ、夢中になれることがなかった時のAよりずっと、楽しそうでキラキラしてたって俺は思うよ」
Aが俺の前を照らしてくれたように、
俺もAが下を向かないように引っ張ってやらなくちゃ。
幼馴染って、そういうもんだろ?
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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