011.現れる ページ12
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「……先輩……A先輩!!」
「ぅあはい!!」
「味噌汁ください」
「あ、ごめん」
食堂でエプロンを着てお手伝いをしてぼーっとしていると、金丸が怪訝そうな顔で私を見る。
「眠いのもわかりますけど…」と口ごもる彼に幸子が「違う違う。監督にフラれたの」と傷口をえぐる。
「さっちー、君は後でくすぐりの刑に処す」
「うわ、勘弁してよ」
「A先輩フられたんすか」
「やめろって言ってるのが聞こえないかな君は」
ドストレートに聞いてくる金丸に苦笑いしながら味噌汁をあげると、小さくため息をつきながら端っこでご飯を食べている監督の方を見た。
(……あぁ、今日も変わらずかっこいい)
いつもなら幸せなこの光景が、もやもやとしかしない原因はわかりきっていて、どうしようもないということも自明。
配り終えて三角巾を外しながら監督を見つめ続けていれば、まさかのぱちんと目があっておたまをカーンと床に落とす。
「しっかりしなよ杉本」
「はいすみません!!……え、あれ…りょっ」
慌てておたまを拾い上げながら声のした方に謝れば、そこに立っていたのは私服姿のあの先輩。
「亮介さん!?」
「あいっかわらず煩いねお前」
「え、あ、すみません」
嫌な顔をされて慌てて声のボリュームを落とすと「何しにいらっしゃったんですか」と聞けば「差し入れ持ってきたんだけど」と言いながらどさっとテーピングの山をカウンターに置いた。
「差し入れがえぐい…」
「必要でしょ。地獄の合宿にはね」
「あはは…」
「お前何早々に亮さんと話してんだよ!」
「兄貴!くるなんて聞いてないよ!」
「亮さん、お久しぶりです」
苦笑いしながらそれを受け取ると、倉持春っち木島の亮介さん大好きトリオが寄ってきて私を尻目に睨む。
亮介さんは3人に適当に相手をしながらちらりと私の方を向いた。
「杉本、この後ちょっと話そう」
「……………え」
怖い予感しかしませんが。
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ジェシー - 続きが読みたいです、、!!作者様もし見ていらっしゃったら是非続きを書いていただきたいです!!!! (2020年6月19日 3時) (レス) id: 8f8c74e36c (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年3月28日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 今更だけど続き読みたいですッ!! (2019年3月13日 1時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 更新はもうしないのでしょうか?していただけるならその日を楽しみに待ってます!!!頑張ってくださいね♪応援しています!!! (2017年4月12日 16時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
夏乃実(プロフ) - ちかちゃーん(T_T)いきなり御幸世代終わっちゃってたから心臓止まった…私も考えたくないから多分書けないな(^^;; 麻生が切ないです。。 (2016年12月5日 3時) (レス) id: 753635ea11 (このIDを非表示/違反報告)
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